このレビューはネタバレを含みます
インドネシアで鑑賞
バーベンハイマーが大炎上している最中に見たけど、それも含めアメリカ人の歴史認識こんなものだよな、という前提の上で観れば特に違和感もなく観られたな〜というのが最初の感想
オッペンハイマーとストロースの確執、公職追放のくだりは理解しづらくて予習しておけばよかったと思った
政治と個人の関係、戦争における科学のあり方、技術の発展の帰結など普遍的な主題が提示されつつ、時代のうねりに飲まれた人間の無力さと苦悩が丁寧に描かれていた
若干の冗長はあれど、普通によかったと思う
とりわけ原爆の実験の場面は本当に美しく炎が描かれていて無音の使い方も効果的で息を呑む、冒頭のオッペンハイマーが見せた宇宙への純粋な探究心とリンクされていく
だからこそ、次の場面で二発の爆弾が運ばれていき正気に戻される感覚が、オッペンハイマーと観客に共有されておりとても良かった
強いて残しておくならば、原爆の被害描写が3時間もある割にはあまりに薄く、オッペンハイマーの見せる苦悩を裏付ける原爆の非人道性が、おそらく日本人以外には伝わらないだろうという印象があった