先行上映で鑑賞しました。
映像、音響、演技、音楽、映画としての表現力はどれも本当に凄かったし核爆弾の威力や恐ろしさは伝わってきた。
あくまでオッペンハイマーの視点にこだわって作られているということもあって、広島や長崎の惨事は直接的に描かれてないものの、日本人として観ると心が締め付けられるシーンもあった。
しかしこの作品は、原爆やオッペンハイマーを称賛するものではなかったと思う。
原爆が誕生したことによってWW2は終戦したが、それが米ソの冷戦や水爆の開発へと繋がり、世界は我が身を滅ぼす力を得てしまった。
結果的に、オッペンハイマーは作中で出てくる言葉の通り世界の破壊者になってしまった。彼が原爆を完成させたことによって、世界を滅ぼす"神の火"を人類に与えた。プロメテウスのように。
核兵器に関心が薄れている若者や世界に対して改めて問題提起をしている重要な作品だと思う。
