責任と因果を考える映画でした。
話は、オッペンハイマーとストローズという二人への質疑応答を軸に過去の回想が差し込まれ、基本はオッペンハイマーの伝記の体裁で進みます。
伝記なので結論は既に決まっており、むしろそこは事前に調べて行った方が見やすいと感じました。
それくらい、話はシンプルかつ盛り上がりがあるものでもありません。
でも、それを構成する要素がとにかく素晴らしい、これに尽きる!
主演のキリアン・マーフィー。
第二の主役のロバート・ダウニー・Jr
脇を固める、マット・デイモン、ラミ・マレック、トム・コンティ、フローレンス・ビュー、ジョシュ・ハートネット…あげ出したらきりがない。
役者陣の表情や仕草が素晴らしく、字幕を追っているとその細かな部分を見逃してしまうので、吹替を推奨したいくらい。
ただ、英語ならではの間や淀みもあるので…字幕見てから吹替が良いかも!笑
音楽は静かにでも効果的に演技を後押ししているし、何より効果音の使い方が抜群に上手い。
色合いも少しぼかすような昔の映像を彷彿させるものから、モノクロ、IMAXの効果を最大限に感じさせるくっきりとしたカラーまで、うまく使い分けられていて、シーンごとにしっかり気持ちを切り替えながら見られます。
原爆の製造や投下については…確かに少し日本人の感情を刺激するとは思います。
が、そこに悪意はなく、あくまでもアメリカ側から見た事実としての側面でしかないので、個人的には大きく気にはなりませんでした。
派手さはない。
アクションや大どんでん返しもない。
ノーラン作品的な感動もない。
ただ事実を丁寧に描く。
だからこそ心にしっかり届く。
良い作品でした。
話:3
演技:5
装飾:4
音楽:5
演出:4