ましろ

オッペンハイマーのましろのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
責任と因果を考える映画でした。

話は、オッペンハイマーとストローズという二人への質疑応答を軸に過去の回想が差し込まれ、基本はオッペンハイマーの伝記の体裁で進みます。

伝記なので結論は既に決まっており、むしろそこは事前に調べて行った方が見やすいと感じました。
それくらい、話はシンプルかつ盛り上がりがあるものでもありません。

でも、それを構成する要素がとにかく素晴らしい、これに尽きる!

主演のキリアン・マーフィー。
第二の主役のロバート・ダウニー・Jr
脇を固める、マット・デイモン、ラミ・マレック、トム・コンティ、フローレンス・ビュー、ジョシュ・ハートネット…あげ出したらきりがない。

役者陣の表情や仕草が素晴らしく、字幕を追っているとその細かな部分を見逃してしまうので、吹替を推奨したいくらい。
ただ、英語ならではの間や淀みもあるので…字幕見てから吹替が良いかも!笑

音楽は静かにでも効果的に演技を後押ししているし、何より効果音の使い方が抜群に上手い。

色合いも少しぼかすような昔の映像を彷彿させるものから、モノクロ、IMAXの効果を最大限に感じさせるくっきりとしたカラーまで、うまく使い分けられていて、シーンごとにしっかり気持ちを切り替えながら見られます。

原爆の製造や投下については…確かに少し日本人の感情を刺激するとは思います。
が、そこに悪意はなく、あくまでもアメリカ側から見た事実としての側面でしかないので、個人的には大きく気にはなりませんでした。

派手さはない。
アクションや大どんでん返しもない。
ノーラン作品的な感動もない。

ただ事実を丁寧に描く。
だからこそ心にしっかり届く。
良い作品でした。

話:3
演技:5
装飾:4
音楽:5
演出:4
ましろ

ましろ