【※若干のネタバレはあるかもです】
最高だった。昨夏の本国公開から高まっていた期待値を悠々に超えていった。
その興奮は「これぞノーラン」という要素が今回も溢れていたからだと感じる。編集を含めた映像のギミック、そして俳優陣の演技、IMAXという最高の鑑賞環境、サウンド、劇伴…すべてを含めて映画へ没頭させてくれる作品のクオリティの高さに圧倒されていた。
冷静になって考えてみると…。
この映画のすごいところは（ノーラン監督の流石の完成度もあるが）、原爆・水爆開発をまったく肯定的でないものの、完全に否定して描いてはいないポイントだと個人的には思う。
物語はかなり複雑かつ速いテンポ感で進んでいく。ノーランの過去作の中でも個人的にはもっとも会話劇がメインに据えられていたかなと思った。なおかつ、ノーラン監督のお家芸でもある入り組んだ時系列構成をしているため、一回の鑑賞ですべてを理解することはほぼ不可能。
ただ、原爆・水爆という日本人であれば誰であれ、切っても切り離せない話題を扱っているために、この物語が他人事ではいられなくなる。
今までに戦争は幾度となく映画のテーマにされてきたが、今作の異質さは【アメリカが原爆・水爆にフォーカスを置き、黒歴史ともいえる実情までためらいなく描いていること】だと思った。
日本がセリフに出てくるシーンは、観客としてどのような気持ちで見ればいいのかわからなくなる。その感覚は初めてだった。
編集と音響、劇伴も素晴らしく、ギミックには圧倒されるばかりだった。例え、オッペンハイマーの生涯を事前に知っていても、これは劇場で見るべきだと思えるような魅力が詰まっていた。
とにかくもう一度早く観たい。
最高だった。
