島津

オッペンハイマーの島津のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.7
僕らは原爆の恐ろしさを知らない。
もちろん史実で知っているがそれを直感的に捉えているわけではない。
起爆実験が始まる。まるで、点滴の針が腕に刺さる直前を引き延ばしたような緊張感のあとに、スピーカーを通して恐怖を直感的に知る。この映画がひとつに反戦映画であることを確信できると思う。

実験関係者が客席を踏み鳴らすあの音は、V2ロケットの推進音だな。劇場で見たほうがよくて、見る前にアインシュタインの生い立ちをおさらいしておくと見るのが楽になるかもしれん。
和訳を通すことでただでさえ抽象的な会話劇が主語を失い、捉え難いものになっているが、目線・表情・身振りで徹底的に会話が補完されていてやばかった。

彼がなぜ、妻が言うように戦わず、屈辱的な裁きを受け入れたのか。それは湖のほとりでアインシュタインから啓示を受けたから。理解し合えるのは世界で二人だけである。構成完璧すぎだろ。
島津

島津