サーフ

オッペンハイマーのサーフのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
正直、この映画、劇場ではもう見れないんじゃないかと思ってた。

第二次世界大戦の真っ只中のアメリカで秘密裡に進められていた「マンハッタン計画」。
このプロジェクトの科学部門のリーダーであったロバート・オッペンハイマーは世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。
ただこの原爆開発成功、日本への投下によってオッペンハイマーは罪悪感に苛まれる様になる。
その後、オッペンハイマーは赤狩りの嵐が吹き荒れる中でソ連のスパイ疑惑を受け聴聞会で追及を受ける…と言うのが大まかなストーリー。

映画の中で主人公であるオッペンハイマーを美化する事も無く、かと言って悲劇的に描く事もなく比較的ドライな目線で描いていると言うのがざっと見た後の感想。
劇中のオッペンハイマーは戦争終結、アメリカが世界の覇権を握る為に野心に燃える人物という訳でもなく戦乱のアメリカで情勢に飲まれてしまった1人の人間。私生活は不品行な部分もあるが「普通の人間」すぎた。
そんな普通の人間が生み出した物によって無辜の市民が大量虐殺されてしまったという事実に恐ろしさと行き場の無い怒りというか遣る瀬無さを感じてしまった。

広島、長崎への原爆投下の直接的な描写は無いけど、この映画が「オッペンハイマーの視点」で描いた映画であり、オッペンハイマーは原爆を作り出したはしたものの、投下に関しては直接的な関与はしてないから仕方がないのかなと思う。
オッペンハイマーが自らが生み出した物と引き起こされた結果が結びついた時、罪悪感に苛まれるという描写の歓喜するアメリカ市民、苦悩するオッペンハイマーの対比は非常に複雑な気持ちに。
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