ゆ

オッペンハイマーのゆのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
この世の全ての生物とこれから生まれる全ての生物の首に鎌がかけられた瞬間を目撃した気分。
それ以降はブラックホールのようになる確率がほぼ0よりもかなり多い状態。自重とのバランス。
その日から、藤子Fの「ある日……」の世界になったのだなぁと思った。あまり自覚はなかったけど、そうかぁ。

「より大きな威力を持った爆弾作りを3年間みんなでたくさんがんばった、それを支えた、それが成功した」
原爆投下前の人たちがプロジェクトの成功を喜ぶあのシーンは、不快な気持ちやアメリカに対する強い憎しみを感じることになるかなと思ったけど、そのシーンに映る全員が自分や家族がある日突然消え失せる力を得たのに喜んでる無邪気さになんとも言えない気持ちになった。
日本人だけのissueじゃなく世界が危うい状態に変化したことを再確認させられた。日本にオッピーと同じくらい天才がいて日本が発明してほうがよかったのか、ドイツがレースに勝ってたらよかったのか、それとも。
実際に落とされて被爆して苦しんだ・亡くなった人やその家族が、心の底から不快に悲しく思うシーンだとは思う。

事前に、■普通の爆弾と核分裂爆弾と核融合爆弾の違いを簡単に、■オッピーの生涯を軽く、予習したことはよかったと思う。
(どっちも危ないけど)爆弾と核爆弾は桁違いだから、個人や国の枠を外せないところで扱うべきじゃないんだなーと思う。各個人の視差によってとても不幸だ。オッピーたち研究者も駆け引きするストロースたちも私よりも遥かに賢い人たちだったろうにとても愚かだ。
池のシーンが面白い。

映画館で、IMAXで、みてよかった。
頭から最後までちゃんとコントロールされていると、映画だなぁ、映画っていいなぁって思う。
ゆ