SO3

オッペンハイマーのSO3のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
2024/03/29 公開初日
TOHOシネマズ系列のIMAXで観賞

映像、音楽、役者の演技、ストーリーラインこれ以上無いくらい完成度は高かった

私は数年前からキリアン・マーフィーを偏愛しており、ノーランにも強い信頼を置いている
今回はオッペンハイマーの人生や核開発、赤狩り、登場人物について予習をして挑んだ
しかし意外や意外、作品があまり刺さらず、途中で寝るわ、観賞後の疲労感がしんどいわ、映画に対して失礼な観賞をしてしまった

オッペンハイマー自身の流されやすさや居た堪れなさ(ストーリーと演技から来るもの)からか、主人公としての魅力を彼から感じられなかった
私のような主人公に感情移入をして楽しむタイプの単純人間は、主人公に合わせて苦しくなるし、ストローズの場面は「ふーんそうだったのかあー」と傍観するような形になるし、全編を通してなんとなく身の置き所に困ってしまった

そしてどうしてもTENETを初めて観た時の感動と比べてしまう…
人間関係を描いたドラマだということは頭では理解しているが、エンターテインメントを求めて行くと肩透かしを食らう

次回もう一度観るときは、一歩引いた分析的な映画の見方をして楽しみたい

2024/04/11 IMAXレーザーGTで観賞

今回はパンフを読み込み、特殊メイク、音楽の多層性、当時の戦況や社会情勢を考えながら観ることができた

オッペンハイマーのパンフは偉大。

そしてこの映画は自分で考えながら観る映画であると感じた。

原爆投下後のオッペンハイマーが時折「裁かれている者の表情」をするのが印象深い
ロスアラモスを開設する際の生き生きした表情と全く異なる
時に聡明、時に弱々しく流されやすいリアルな人間性を感じた
キリアン・マーフィーの演じ分けもさすが彼のキャリアがなせる技だと思う
意志が強い役柄(トミー・シェルビー、クワイエットプレイス)とも、ダンケルクの怯える将官とも全く違う演技で、味わい深いとも言える

ロバート・ダウニー・Jrについてはこれぞアカデミー助演男優賞に相応しい演技
往年の大俳優達が見せたような手に取るような傲慢・肥大した自己評価・権力闘争に見せる自信・憤り、良い仕事だった
そして感情移入するとかなりムカつく(笑)観る側の感情を動かすということはいい演技の証なのではないだろうか

私が1回目に観た時のイライラは主にこの素晴らしいストローズとロッブが原因である笑

エミリーブラントは感情の起伏が大きい役だけに、静から動の演技の移り変わりが素晴らしい
聴聞会(ソファに座っている時も含めて)も勿論だが、勲章授賞式の握手を拒むキティの頑固な表情が見事
観ているこちらがハッとさせられる演技だった

不真面目なので、考えるのに疲れた時は音楽の意味に想いを馳せた
池袋グラサンの音響はなんて贅沢なんだろう
不安定なセレナード、壮大な多重奏、どれもシーンの理解を助ける役割があり、非常に分かりやすい劇伴だと思った

1回目の観賞時は★3だったが、2回目を観た後、多彩な創意工夫に満ちた職人たちの総合芸術を讃えて★4に変えることにした
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