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オッペンハイマーのsoyのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.9
IMAXにて鑑賞。
トリニティ実験のカウントダウンがあまりにも恐ろしくて涙が出た。
正義・欺瞞・恐怖・罪を問うてきたクリストファー・ノーランがこの作品に到達したのは必然だと思う。

まるでオッペンハイマー本人を見ているかのように、姿勢や仕草など細部まで徹底したキリアン・マーフィーの演技の素晴らしさは言うまでもない。個人的には、フローレンス・ピューがジーンという役を引き受けてくれたことを称えたい。
カメオ出演のゲイリー・オールドマン。非常に腹立たしかった(もちろん称賛)。

非常にセンシティブな題材を扱っている本作の日本公開を実現してくれたビターズ・エンドさんに心から敬意を表したい。

【2回目: 2024.4.11 TOHOシネマズ二条】
通常スクリーンで鑑賞。
2度目は冷静に観ることができ、ストーリーに関してはほぼ理解できたと思う。
ボーデンの申立書を受けてのオッペンハイマーのセリフ「誰か一人でも真実を語る者はいないのか」から、公聴会でのD. ヒルの証言に繋がる構成が本当に上手いと思った。

ノーランは米国民の加害性を痛烈に批判していると考えている。その批判の矛先は開発者であるオッペンハイマーだけでなく、自国にとって不都合な事実から目を背けてきた大衆に向いている。冒頭からオッペンハイマーの主観に入り込んでいる観客は、大衆のあの異様な興奮を観た時、困惑と嫌悪感を覚えたはず。あえて直接的な被害を描かないことで、それぞれが自分の頭で想像し考えるように仕向けているのだと理解している。

某Podcastで言及されていたけど、エミリー・ブラントのラストの表情は必見。
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