あkmt

オッペンハイマーのあkmtのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
オッペンハイマーを始めとした、現代物理学に触れていたら少なくとも名前は知っている偉人がたくさん出てくる。この人もあの人も原爆開発に携わっていたのかという驚きと興奮を覚えつつ、学術的な進歩と軍事力の向上が等価である現実に寂しさも覚える。ノーベルのダイナマイトや現代の量子コンピュータも良い意味でも悪い意味でも生活を変えてしまう力を有しており、今も昔も科学者が背負う重圧は計り知れない。本作は純粋に量子力学を学んでいた青年が、たまたま時代や自らの思想・過去が原因となり「原爆の父」という(不)名誉な冠を戴くまでの道のりとその後の苦悩を描いている。落とす、落とされる側の視点ではなく作る側の視点は必ずしも学校教育で学ぶとは限らず、日本に生まれたからこそ観る価値のある映画であるように思える。
行き来する時系列と登場人物の多さが相まって一回で完全に理解するには少々難易度は高いが、3時間という長時間でありながらも中弛みしない凝縮されたものだった。伝記なのである程度の知識があった方が楽しめます。
あkmt

あkmt