りょうた

オッペンハイマーのりょうたのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.7
原爆の父と呼ばれた物理学者J・ロバート・オッペンハイマー。ロスアラモスに町を作り、科学者を集めて原爆開発を主導し成功するも、それのもたらした結果に苦悩する。
日本人として見ていて様々な感情が湧き上がるのは当然だが、史実は史実として、そういった感情は排して見なければならない。そうでないと映画の評価ではなくなってしまう。たしかに原爆投下に歓喜するアメリカ国民の姿は見るに耐えないし、オッペンハイマーという名前だけでも不愉快ではある。でも歴史は知っておいた方がいい。
3時間の長丁場だったが、集中力が一度も途切れなかった。オッペンハイマーの葛藤、ストローズの小賢しさ、キティの聡明さ。豪華すぎるキャストそれぞれの演技が本当に素晴らしい。トルーマンがゲイリー・オールドマンだったとはね。
やはり思うのは誰かがどこかで止めるべきだったということ。やめるタイミングなんていくらでもあっただろうに。元々は対ナチスだったはずなのに、ヒトラーが死んだら日本がまだ降伏してないから戦争を終わらせるためとか言って、膨大な歳月と資金を投入していたから後に引けなかっただけでは?トリニティ実験でその威力を目の当たりにした上で、それを民間人の上に落とすなんて決断がよくできたものだ。それも2発も!結局映画と関係ないところでムカついてきた…
運命の瞬間に向かって突き進む政府と軍、科学者たち。戦後スパイ容疑をかけてオッペンハイマーを公職追放に追い込んだ聴聞会。戦争のシーンは全くないのに、なんだこのヒリヒリするような緊迫感は。ずっと鳥肌が立ってる感じ。こんな映画は久しぶり。「ダークナイト」以来かな。あれもノーランか。
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