ノーラン監督の大得意、時間軸ごちゃ混ぜ脚本。
本当に難しいし、時系列も複雑だし、伝記だし、最初の掴みからもう？？？ってなってた。だけど白黒とカラーの2部構成が交互に混ざってて、ノーラン節に慣れてれば直ぐにわかるようになると思う。
キリアンマーフィー、本当にお上品で理知的な顔立ちが魅力的な俳優さんだと思う。ノーラン監督はこの作品でアップと引きの対比を上手く激しく繰り返してて、フィルム内のど真ん中に何度もオッペンハイマーが映った。彼の吸い込まれるような瞳は、私たち観客を一瞬で彼の世界に引きずり込む力を持ってると思う。本当に、それくらい魅力的な瞳。
もっと社会情勢というか、冷戦、赤狩り、ソ連とアメリカの関係を理解して見ていればもつと楽しく見れたのかなって思うとちょっと悔しい。何よりも、この作品が日本の原爆への影響や日本人の史上を全く挟まず、あくまでもアメリカの、1人の物理学者の伝記や彼の成長譚のようなものとして描かれている所に拍子抜けしたかも。でもそこら辺は楽に見れたかなと思う。
「今度は君が君の達成したことの帰結と向き合う番だ。そしていつか、君が十分に罰を受けたころ、人々は君にごちそうを用意し、お祝いのスピーチをし、メダルを与え、すべて許すと背中をたたくだろう。しかし覚えておくんだ。それはどれも君のためのものではない。祝福する人たち自身のためのものなのだ」
