通常IMAXで。
ノーランの総決算という形よりかは新境地って感じ。苦手な人間ドラマ部分も、時間軸を入れ替えしまくり、複雑な人間関係(これは予習あってもいいかも、てか把握しきった状態でもっかい観たい)で難解にしつつ史実/伝記原作をある程度忠実かつ重厚に描き切った印象。後半なんかはお得意の一気に巻き返してくる展開や、ダークナイトよろしくなタイトルの出し方までやってきて流石の一言。IMAXで観るかギリギリまで悩みましたが、スペクタクルな表現がかなり少ないのでなくても良いかなと思いつつこれだけ重厚な人間ドラマでIMAXでの表現にトライしているのと、音響/サウンドデザインは本当にめちゃくちゃ圧巻だったので(まあここはドルビーとかでも良いかも)120で楽しむなら通常IMAXかなあと。
観る前から少し気になっている「日本人として」という部分。トリニティ実験から投下に至るまで、あとオッペンハイマーのスピーチのところはかなりしんどい表現の連続で目を背けたくなる(広島や長崎を「的」としか考えていない、選定会議のシーンが1番しんどい。これはそうせざるを得ない戦争そのものに対しての何とも言えない気持ちもある)描写もあるし、とても悲しい気持ちになりました。観る側が、特に日本人は政治性を持ちやすい題材なだけに仕方ない部分はあるにせよ、原爆や被害に向いていないと糾弾するのはなんかちゃうかなと思う。あくまでもこのオッペンハイマーという映画に対しては、ではあるけど。
映画として素晴らしい圧巻の出来で心から拍手もの。公開が危ぶまれたことも踏まえて観れて本当に良かったです。
序盤とラストでひっくり返る(唸っちゃったもんな)、アインシュタインと交わした会話が印象に残っている。人類はどこまでも愚かでその力を有するには早すぎたのかもしれない、その世界に今も生きてて、戦争は続いている。
