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オッペンハイマーのmatchypotterのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
新宿のTOHOシネマズ、なんか久しぶりな気がする。

今、世界一注目度の高い映画監督か、クリストファーノーラン。
そして、それを決定づけるかの如く、2024年、第96回アカデミー賞で作品賞を含む7冠の本作。

そして、満を持して本編もついに180分、3時間。濃い、とても濃い3時間。

観る前に「これは“音”だ」みたいなことを言われてて何のことかと思ってたけど、意味はわかった。
昨日観た『DUNE』同様、せっかくのノーランだからIMAXで観たかったけど、これも時間が合わず、残念。

だけども、内面を異様なほどに抉ってくる描写、“音”。
純粋な科学への探究心から事を発し、自らが歩もうとしている道への葛藤、自らが為した成果による結果への贖罪、、、。

彼の内なる心理の揺れ動きや変遷と、歴史的にも例を見ない驚異の発明とそれによる出来事に対しての責任や実行者の所在の行方。

“原爆の父”と呼ばれる物理学者、オッペンハイマー。
初めは彼がそれを作ろうと願ったわけでもなく、彼が1人でそれを作ったわけでもなく、彼がその権利を得たもの彼の力ではなく、作った物をどうするかは彼の範疇にはない。

それでも、それを使った先の結果は彼が背負うべきモノか。

1945年8月6日に広島、9日に長崎。
日本に2度も落とされた原爆を作るために計画された“マンハッタン計画”の現場責任者としてのめり込み、苦悩と葛藤に苛まれる彼の伝記的物語。

歴史的にも名だたる政治家や関係者が名を連ね、それらを名だたるキャストが次から次へと。

あんまり前情報見ずに観たので、歴史上の人物も、それを演じるキャストもあの人この人出てきて驚く。

ノーラン作品としてのパワーと、キャストのパワーの混合。
ロバートダウニーJr.の何やら異様な覇気が最後は爆発するし、ジョシュハートネット久しぶりに観てちょっと嬉しくなった。

そんな衝撃を数々仕掛けてくる中、オッペンハイマー本人の尋常ならざる事態に飲み込まれていくこの雰囲気。

ここ最近のノーランの“本人にしか仕組みがわからないような”アクロバティックな理論やルールからの映像技術による奇想天外で予想不可能な話ではなく、あくまで、実在した科学者の苦悩を描く。

が、ただの“伝記的な物語”でもなく、“音”や“光”による独特の描写を差し込むことによる人間の心の内と、原爆の発明による光と影がある。
これはノーラン、彼にしかできない。

後の米ソの冷戦の如く、“核の脅威”による抑止力や早期終戦という思惑と、誰かが作れば誰かも作って力のインフレが止まらなくなる懸念。

その狭間で為してしまったオッペンハイマーの心境がここにある。

さり気なく“ノーベル賞”の皮肉とか、過去の政治への揶揄っぽい表現もあったり、なかなか映像以外にも切り込んでた作品。

※24年3月、映画オススメブログ、始めました。
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作品単発のレビューはここでやっているので、こちらは企画記事メインに挑戦したいと思います。
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(まだ始めたばかりでお粗末が過ぎるブログですが)
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