バルべ

オッペンハイマーのバルべのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
当時の人間じゃないけど、やっぱり日本人としては憎悪の対象。

彼の実験成功前後の表情の違いには、「いやいや何そんな顔してんねんお前が作ったんやろ」と言いたいが、その後描かれる彼の半生とそれを取り巻く人物によって少し同情という感情が芽生えると同時に、自分が彼だけをスケープゴートとしていることに気づいて恐怖をも覚えた。

作らせたのは、また落としたのは別の人間であるのに彼だけを憎んでいる自分がいた。それは劇中で描かれる何も知らないアメリカ人にも重ねることができる。彼らは逆に落とされた人がいて、それで苦しんだ人がいることを知ろうとせず落とした自国を称賛した(今のアメリカ人に対する批判では全くない)。

結局自分都合なのか、そんなことまで考えてしまった。世界の人がどうこの映画を受け止めたのかそれぞれであるが、自分としてはこのように自分を顧みる機会を与えられた映画体験というのは他に代え難いと考える。
バルべ

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