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オッペンハイマーのののののレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
プロメテウスに喩えられたオッペンハイマー。強大な力を人類に与え罰を受けた彼にぴったりの表現。それと同時に彼はイカロスであるとも思った。権力を手にし、軍服に袖を通した時点で物理学者としての本質を見失ったように感じる。“near zero”の精神は彼の傲慢さと力の過信に繋がるのではないだろうか。
それと同時にトルーマンの「作った人が責められることはない」という台詞にはっとさせられた。原爆投下を承認した彼や、実際に投下したエノラ・ゲイ、そして炸裂したリトルボーイのことは知っているし苦々しい気持ちになる。でも原爆の父であるオッペンハイマーについては無関心に近かった。それは彼がどこまで行っても物理学者であり、科学の発展の延長線上に原爆開発が位置していたと考えていたからに他ならない。高名なノーベル賞受賞者と肩を並べた彼もまた権威ある科学者で、ただ信じる道の先に光が無かっただけなのだろう。
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