オッペンハイマーはアインシュタインに核連鎖反応は起きたと述べた。実際、今の国際情勢は核を持っている国の対立、それに守られている国、また、自国を守るために核の開発を急ぐ国など、核の脅威は世界中に広がり、朝鮮半島や中東、米露、米中対立など今なお核中心の対立が爪痕を残している。
始まりのシーンでは核を生み出してしまったオッペンハイマーが火を生み出したプロメテウスに擬えられたが、火を欲したのは、また、火を使用するのはプロメテウスでなく、人間である。我々は今一度、火の扱い方について考えなければならない。
今の世界を塗り替えた人物の苦悩や葛藤を、巨匠が、圧倒的な音響と映像で描いたことに意味があると思えた映画だった。
