餅餃子

オッペンハイマーの餅餃子のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
椅子に身体中が張り付いたまま離れない感じ
無意識に組んでた手が解けない感じ
疲れなのか絶望なのか驚きなのか、どれにも形容し難い感情に苛まれた
ただオッペンハイマーにここまで感情移入できるとは予想外で、原爆を落とされた側ではなく、発明した側の視点で原爆を学ぶことができる、“観る価値”が確実にある映画だった

本来実験が苦手であるはずのオッペンハイマーが原爆の実験に成功した途端、原爆はすぐさま彼の手元から離れて行った。オッペンハイマーは、トルーマン大統領が言うようにただ爆弾を”作った“人なんだと思った
マンハッタン計画が世界を破滅に近づけるきっかけになったとしても、それにどれだけの時間とお金と労力を費やしていたとしても、彼はただ自分の仕事をしただけに過ぎない
結果的に原爆の父というレッテルを貼られ、自分が多くの犠牲を生むきっかけを作ったことへの深い後悔が彼を苦しめたことは必然であると思う。
それと同時に、原爆の被害者が真っ先に関心を向けるのは原爆を“落とした”人であり、どれほどオッペンハイマーが責任を負っても、原爆を使用する権利があるのは、責任を自覚しない政治家であることに、恐怖を覚えた。

180分、数字にすると確かに長いけど、その時間が必要だと納得せざるを得ないような構成、みせ方と音の使い方には感動したし完全に引き込まれた
ノーラン映画は音が魅力よね
逆にオッペンハイマー題材にここまで真摯に面白く映画を作れる監督いるかね
餅餃子

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