剣々

オッペンハイマーの剣々のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
彼がもたらしたのは、神の炎か世界の破壊か

第二次世界大戦下、アメリカでは原子力爆弾を開発するマンハッタン計画が発足する
そのプロジェクトに抜擢されたのが、オッペンハイマー博士である
彼は科学者たちと共に計画を推進していく
そんな彼の人生の光と影を描く

ノーランの超大作オッペンハイマー!
オスカーでの快挙も記憶に新しい作品ですね
世界史や物理はそんなに詳しくないので、有名どころの名前や出来事くらいしかわかりませんでした

オッペンハイマー自身は新居にキッチンを作り忘れているところ等みると、化学や理論に没頭し生活が抜け落ちていたのだろうと感じました
一方、女性との交流等見ると人間くさいところも多々あり不思議な人物でしたね

映画としては凄い情報量とテンポの良さですが、逆にそれが面白く魅力になっているかと思います
知的だったり、皮肉だったり、緊迫感あったりと会話が面白い作品良いですよね
会話を聞いてるだけで楽しめるって凄いことだと思います!

時間軸が2軸になっていたりドンドン話が展開していくにも関わらず、話の大筋や主題が迷子にならず楽しめる構成が素晴らしい!
カラーや白黒の切り替えでシーンを明示的にわかりやすくしてくれるのもありがたいです
また、音楽や効果音でその場の緊迫感や高揚感が駆り立てられるのも没入感があって素晴らしい体験でした

そして一つの山場となる爆破の実験
歓喜の場として描かれますが、その後もたらす悲劇を考えるとやりきれない気持ちになりますね
多くの命を救うため、多くの命を奪う矛盾を孕んだ兵器やっぱり恐ろしいです
その点本作は歓喜の中に、もたらす悲劇を彷彿とさせる描写があるのが良かったと思います
オッペンハイマーが原爆の危険さをも感じ取り、心の底から喜んでるわけでなく悲痛の表情を浮かべていたのが印象的でした
単なる原爆賛美になっていないのが良かったです

原爆の父の物語でした



【雑記】
GWの終わりにふと妻がオッペンハイマー観たいと言い出したので、急遽子どもを預けて映画鑑賞でした
久しぶりの映画館楽しかった
飲み物がドリンクバーのみになっていて、1日飲み放題っていうのは初体験でした(1杯しか飲まない人は、客単価上がるだろうし結構頭良いね)
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