TakeshiKaneko

明けない夜とリバーサイドのTakeshiKanekoのレビュー・感想・評価

明けない夜とリバーサイド(2021年製作の映画)
3.9
夏衣麻彩子監督作を観るのは、
『マイ・シェアメイト』『ペールブルーがかさなる』につづき3作目。
いずれも、派手ではないけど自分自身の近いところで心がひりひりするような映画だ。

今回は、上映後に夏衣麻彩子監督と主演の近藤笑菜さんの舞台挨拶もあった。

昨年、コロナで映画業界が止まった時期に
企画プロデューサーで主演の近藤笑菜さんは、自分自身の無力感を感じたという。
私たちの仕事は不要不急なのかと。
力のある人だけが生きていける世の中は辛いなと。

そんなさなか、
身近な人が逃げてしまいたくなるような時に助けになるような映画は作れないかと、夏衣麻彩子監督、脚本の須貝英さんと打合せを重ねたという。
そんな経緯で生まれたのが今作。


物語りは、姉弟川沿いの道を歩く今と過去が何度も行き来しながら描かれる。

つらいことは誰にでもあるけど、感じ方はそれぞれ。その振れ幅を2人は思いやりながらも理解できないでいた。
思いを受けとめきれなかったり、気づけなかったり。
それでも、周囲とも折り合いをつけながら2人は生きていく。

そんな姉弟のやり取りが暗くなりすぎず、救われる。

上手くいくことばかりではないけれど、先に見える小さな光があれば、歩いていける気がする。

この姉弟も同じだ。
2人には見えたんだと思う。
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