突如として親友からの断絶を迫られ関係を修復しようとするも、じりじりとひりひりと友情の歴史は軋みをあげながら狂っていく。物語は淡々と進みながら着実に積み上げられていく負の感情、時折見せる友情の厚みがもたらす穏やかな瞬間、退屈とは裏腹にこの作品には様々な思考を張り巡らせることの出来る刺激的面白さに溢れている。人間と動物の関係性を上手く機能させて、とても複雑な人間の持つ感情を様々な角度からあぶり出し、ミクロからマクロ、マクロからミクロへと視座、フェーズを変化させながら奥深さが増していく。理解に苦しみ葛藤する困り果てた表情が可愛いコリン・ファレル、可愛げのある不穏さを纏ったバリー・コーガン、聖なる鹿殺しでも強烈なインパクトを残した2人の共演も嬉しい。終わりの見えない争いに終止符を打てるものは何なのか、人生が続いていく中で希望もあれば絶望もある、可笑しみや滑稽さ真面目な眼差しを持った目が離せない人間模様。
