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イニシェリン島の精霊のpmanのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.8
親友だった2人が一方は絶縁を求め、一方は関係を求める。
お互いに争うつもりは全く無かったはずだけど徐々に関係は悪化して過激になっていく。
嫌がらせをし合うもそれぞれの大切なテリトリーには介入しないように配慮もする。
まるで戦争の縮図を観ているよう。

アイルランド内戦の暗喩だと捉える事も出来る(実際意図的に仕向けてる)けど、戦時下ではこういった民間の争いも多かったんだと思う。

コルムは海辺で毎日砲弾の音を聞いていたのだろうからこの小さな島でただ死ぬまで暇つぶしをする人生に絶望感を抱くのも頷ける。し、これまでの人生を取り戻すかのように残りの人生を有意義にしようと焦る気持ちも分かる。
音楽が大事だと言う割に指を落としたりするのも、所詮は音楽も気休めでしか無くて心は絶望感で一杯なんだろう。指を落とすのは自分はこれ程の絶望を感じているという気持ちの表現だと思う。

この人と一緒にいると楽しいんだけど生産性が無いなとか、何か為になるんだろうかみたいな、人間関係を利害で見てしまうこと誰でも一度はあると思う。

コリン・ファレルの困り顔、次第に不安感を帯びて顔が険しくなっていく演技力。めちゃくちゃ寂しそうだったなぁ...。自分としては"いい人"は貴重な存在だと思う。なろうと思ってなれるものではないしそういう人が必要な時もある。

犬、ロバ、その他動物たち可愛い。
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