ツクヨミ

シーフォーミーのツクヨミのネタバレレビュー・内容・結末

シーフォーミー(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ヒッチコック系譜のサスペンスによるハラハラ感から暗闇スリラーまである多彩さ。
キャットシッターのアルバイトでとある豪邸を1人で過ごすことになった盲目少女ソフィ。そんな折に強盗が現れて…
盲目少女vs強盗⁉︎いかにもなB級スリラー。予告編にて盲目少女と強盗がバトるといういかにもB級スリラー雰囲気を漂わせていた本作、いざ気晴らしに見てみると予想だにしない展開が実は楽しい意欲作に仕上がっていた。
まず今作は盲目少女が金持ちにアルバイトで雇われ、一晩豪邸で1人過ごすというワンシチュエーションものだ。そんな設定に実は盲目少女がことあるごとに小さな窃盗を繰り返しているという人物像を挿入している、最初はふーんな小ネタかなと感じていたがこの設定が後々効いてくるから面白い。そして盲目少女がアルバイトをスタートさせ、家の中を散策していく最中ちょっと一服のため庭に出た瞬間自動ロックがかかり家に戻れなくなるサスペンスが突如始まるのがめちゃくちゃびっくりしてハラハラさせられる。まだ強盗たちがやってこない序盤なのに、防犯装置と盲目少女とのサスペンスなんて小ネタにもほどがあるのに、防犯装置を作動させてしまった罪悪感と早く止めないとという急足になる緊迫感をうまく見せる撮影も上手い。小さな設定でもこんなに上手いサスペンスを作り出す…これはヒッチコック系譜なんじゃないかなと勝手に解釈していい気分になった。
そして強盗たちがやってきて盲目少女が見つかるか見つからないかのスリラーも勿論楽しい。隠れる盲目少女視点と何かを探す強盗の視点によるカットバック編集も実にサスペンスを煽るのも確か。しかし中盤に盲目少女が強盗に捕まってしまうというエンド的展開から、盲目少女が小さな窃盗を繰り返していた過去から強盗に共犯を持ち掛ける展開にはさすがに「は⁉︎」っと声が出そうになった。そして共犯からの警察とのバレるかバレないかのサスペンスもめちゃくちゃハラハラして楽しい楽しい。この時点で小さな設定を脚本に生かし、映画的に面白い見せ場を作るのが巧すぎるんじゃないかとかなり高評価。
また終盤の暗闇ファイトも安定の面白さ。盲目少女とボスの優位さが切り替わる展開も含め、最早素人盲目少女が強盗集団をやっつけてしまうというめちゃくちゃ展開がやっつけ楽しい。ラストカットのスキー要素は正直いらないかなと思ったりしたが、全体的によくぞこんなB級素材から面白いもの作ったなという点でめちゃくちゃ評価したい意欲作だった。
ツクヨミ

ツクヨミ