女性が被る束縛と抑圧を描いてきたソフィアコッポラ.ついに解放を見せる。
ソフィア・コッポラ監督作品。監督の最新作が公開、しっかり予習して挑んでみた。
まずオープニング、キレッキレの小道具クローズアップのモンタージュ、バリッバリのロックミュージックで初っ端ソフィアコッポラモード全開にウキウキさせられる。女性の瞳や体の各部位をクローズアップで見せるのってゴダール"恋人のいる時間"のオープニングのオマージュかと思ったがきっと違います。
まあそんな始まりから今作はエルヴィスプレスリーの奥さんとなるプリシラの物語だ、監督の過去作の中では"マリーアントワネット"が該当するほど実は背景やプロットが似通っている。だがしかし魅力的すぎる男性に惹かれ楽しい逢瀬を甘酸っぱく描いている点が大きく、その点が"ヴァージンスーサイズ"や"マリーアントワネット"では懐疑的でメインではなかったため、ソフィアコッポラが初めて甘酸っぱティーンなラブストーリーをメインにしたかと思うと感慨深い。
なので前半はめちゃくちゃ魅力的なエルヴィスにゆっくり浸かっていくプリシラに共感するスウィートさにクラクラ、ポップで美しい映像とケイリースピーニーの魅力にクラクラしそうな時間が流れてた。だがそんな前半からゆっくりとソフィアコッポラ的束縛と抑圧が表れ出し、エルヴィスの衰退と並行するように二人の関係性は次第に終わりを見せていく。全体としてソフィアコッポラの物語って、実はわりかし自己投影というかフランシスフォードコッポラの七光りという世間の目から来るストレスをそのまま物語るスタイルなんじゃないかと感じるくらい。それほど男性社会からの束縛と女性の抑圧を描くことが多いと気付かされた。
そしてそんなしがらみから逃れるように駆け出していくラスト、実はソフィアコッポラにしては初の解放的なラストなんじゃなかろうか。まあいろいろと起伏がなく.ややもったりした印象は変わらないんだが、相変わらずの映像センスと選曲の抜群さ、語りたいことを原作選びに掛ける作家性などなど飛躍した作品でわりかし好きだったなー。
