ぎぬ

BLUE GIANTのぎぬのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ジャズのお話ってこと以外ノー情報で行ったけど、めっちゃよかった!
「報われた」とか「どうしたらいいんだ」とか、「悔しい」とか色んな感情で泣いた。泣きすぎてちょっと喉の奥から胸にかけてが痙攣したくらい
ゆきのりが交通事故に遭うシーンはわかりやすい泣きポイントだけど、それ以外のシーンはわかりやすくてあざといなきポイントじゃない。それが自然でよかった

ジャズが心から好きで、がむしゃらに一生懸命やってる3人組。
主人公たちと同じ18歳の時に私はこんなに一生懸命何かに取り組めなかったな。
本気で何かをやって、すごい喜んだり、すごい悩んだり、すごい悔しがったり。仲間を信頼して、認めて、ぶつかって、でもやっぱり大事だって思ったり。好きなことを続けるために寝る時間を惜しんで、練習したり、バイトしたりして。ここまで感情的になれる何か、大きなエネルギーを注げる何かを自分も見つけたかったな。
こういう感想を持つようになったところが、悪い意味で歳をとったなと思う。

面白い演出
・黄色の2つの縦信号(ブリンカーライト)の寄りの後に都会の俯瞰になる
・焼肉屋にいる3人、焼肉の網の中から見上げるカット
・顔のシャドウが青い
・演奏シーンの演出壮大。自由でエネルギッシュ。どうやってイメージ共有したんだろう?

構成
・幼い頃のゆきのりが憧れてたピアノ教室に通う女の子(あおいちゃん)はゆきのりのピアノをずっとみていてくれていた、と気づかせる構成
→ところどころのライブで出てくる若い女の子は、ゆきのりを見て「ゆきちゃん」と呟く。ただのゆきのりのモブファンだと思っていたら、最後のSoblueでのライブ、ゆきのりのピアノソロのシーン、その女の子のカットの後に、ゆきのりの幼い頃の回想絵が浮かんでくる。ここでこの女の子がゆきのりの憧れていた女の子だとわかった。
・未来の時間軸のインタビュー映像をインサートしていくのが面白いアイデア!インタビュー映像は他の時間軸との差別化ができるように、録画画面になっている(フレームガイドがついていたり、recの文字があったり)
玉田はドラムはやめちゃったんだな、とか大はすごいやつになったんだな、とか。ある意味ネタバレされながら本編の時間軸を追いかけることになるわけだけど、全部見終わった時にそのインタビュー映像があることで情報量的にも満足感のある作品になっていたんじゃないかと思う。
もしこのインタビューインサートがなくて
Soblueで演奏して大成功→エンドロール→大がミュンヘンへ行く
という構成だったら、いきなり終わった感があったとのでは?インタビューインサートがあることによって、物語の情報の足りなささを感じずに、尚且つ人にストーリーを想像させる余地があっていいなと思った。

その他印象に残ったこと
・大が新橋でビラを配っていた時に、ビラを受け取ってくれた鼻の赤いおじさん。ライブに来る可能性は10%だと言っていたけど、ちゃんと来てくれて、最後のライブまで来てくれた。そういう人がいると嬉しいよね。
・ライブ後、ゆきのりと大にはファンがいてサインを求められるけど、玉田は技術的な魅力がないためサインを求められない。サインをする大を見ている玉田。その時に、おじさんが玉田に「最初のライブから見てるけどどんどん上手くなってるね。君の成長を毎回楽しみにしてる」みたいなことを言う。自分のことを見てくれてるひとがいるってすごい嬉しいし安心しただろうな。
・Soblueの平とゆきのりがバーで会うシーン。平はゆきのりに色々なことを舐めている、小手先だけの技術のように見える、と言う。成功することに重きを置いて、内臓を抉り出すように自分を表現できない硬さがあるゆきのり。らしさをだすって怖いし難しいよな...。
何でも要領よくできて、ある程度誉めらて来た人は特に自分の感情に任せて考えなしにエネルギーをぶっ放すって言うのが苦手なんだろう。
寝ずに2日間ぶっ通しでピアノを弾いて。壁にぶつかる。
まずは人に誠実に対峙しようと、サインを断ってしまった人の所に直接「僕なんかのでよければもらってください。また来てください」と言いにいく。少しずつ変わろうとしている。
有名バンドのピアノにピンチヒッターで入る。そこでようやくソロで自分らしさを表現することができた。
・最初はすごく玉田に厳しかったゆきのり、でも玉田がめっちゃ練習頑張ってるのを感じると、実家に電話して「ドラムってどう教えればいいの?」と聞いたり、「今日のミスは180回。思ってたより悪くなかった」と言ったりと素直ではないけど認めていくのが印象的。
ぎぬ

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