桔梗

やがて海へと届くの桔梗のネタバレレビュー・内容・結末

やがて海へと届く(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画館にて鑑賞。

私達はきっと世界の片面しか見えていない。
すみれのこの言葉が胸に残る。
どれだけの時間を共にしようが、
どれ程近い場所にいようが、
その相手の核となる部分には触れることは出来ない。
知ったように振舞っていても、
あくまでそれは憶測でしかない。
楢原もすみれも、同じ。

この物語の背景に震災があると知った中盤、
それまで以上に心に訴えかけてくる物があった。
津波により安否不明のまま、
生存とも死亡とも知らされない人々。
その人々を待つ家族や親友、恋人。
喪失感を抱きながらも、まなの様に生きていると信じ続ける人間。
遠野やすみれの母の様に、もう亡くなってしまったのだと諦め、
心に折り合いをつける人間。
そのどちらも、残された人間のリアルな姿なのだろう。
桔梗

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