映画好きの柴犬

やがて海へと届くの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

やがて海へと届く(2022年製作の映画)
3.6
女優に引っ張られすぎ

 東日本大震災の前日に消息を絶った親友すみれ(浜辺美波)の秘密を探す旅に出た真奈(岸井ゆきの)の心模様を描く。

 過去作において、浅倉あき、松本穂香、衛藤美彩ら女優さんを印象的に撮っていた中川龍太郎監督と、岸井ゆきの、浜辺美波というトップ女優とのコラボとなれば否が応にも期待が高まるわけだけど、本作は残念ながら期待外れだった。

 多分、監督もちょっと肩に力が入りすぎちゃったのかな(あるいは、マーケティング的な横槍かも)。実際、主演二人は流石の存在感なんだけど、そこに引っ張られすぎて本来の主題から外れてしまった印象。本来は喪失と再生の物語のはずが、過去の人である浜辺美波の「秘密」と岸井ゆきのの関係を振り返る話になっちゃった。本当ならば、浜辺美波の出番はもっと少なくてよくて、真奈と国木田(中崎敏)の関係とかに尺を当てるべきだったと思う。

 だから、途中から東日本大震災に焦点がシフトしていくんだけど、そこにすごく唐突感を感じた。そこで、被災者のインタビューが挟み込まれるんだけど、その最後だけ女優(新谷ゆずみ)さんなのも違和感があった。いや、新谷ゆずみさん自体はすごくナチュラルで良かったんだけど、やっぱり素人さんじゃないのがわかっちゃうんだよね。