ヒラリー

乱れ雲のヒラリーのレビュー・感想・評価

乱れ雲(1967年製作の映画)
4.0
成瀬巳喜男は3本目だが毎度冒頭に明かされるハードモードっぷりにポカーンとしてしまう。
この話が成立してしまう脚本、主演二人の演技に溜息が出る。
特に加害者男加山雄三の好青年っぷり、あそこまで曇りないと憎みたくても憎めない。

夫の海外転勤を喜んだ矢先、出張先の箱根で夫は帰らぬ人に
加害者の男の車がパンクし、運転ミスによる過失致死
金で夫は帰ってこない。
でも加山雄三があまりにもしつこく出てくるもんだからあまりの常識の無さに奥さんの代わりに私が切れそうだった。
被害者妻と加害者男、どう考えても2度と交わらん二人がメロドラマ展開していく様は見事…
金を貰い続ける事で接点を持ち続ける事、夫の家族(金)の件もあり籍を抜いて、金も断る、0からのスタートを切るってなかなか思い切った事だけど新天地(実家やが)で飛ばされた加山雄三と再会ってここまで来たら運命でしょ…
重ねる逢瀬にこれは…これは…と思ったけど男と女って本当に不思議…正直私ならお前も殺して俺も死ぬとかなりそうやけど。。
ラストの畳み掛けが凄まじくて丁寧な描写の大勝利、色んなラストを想像しながら転び方が全然読めなかった(遮断機のところとかこれは…って思った)
どんな事をしたって死んだ人は帰ってこないし罪は一生背負うしかない。
彼が好青年だろうと贖罪にならないし運命として受け止めるしかない。
天国と地獄を繰り返す感情のジェットコースター映画でした…

コーヒーあんな置き方したら絶対クレーム出る
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