乱れ雲の作品情報・感想・評価

「乱れ雲」に投稿された感想・評価

端正な絵作りが素晴らしい。最後は心中でもするのかってくらいの緊張感。目の前で交通事故を見せるとかどんだけ意地悪なんだw
多くの人が指摘しているように、終盤の踏切待ちのシーンの緊張感がうまい。この先起きることへの不安感が煽られた。結局、二人は過去から逃げることも、それを乗り越えることもできなかったところが切ない。
メロドラマは雰囲気に酔えた者勝ちといった節があるが、そんなことすら考えさせないのが司葉子の美貌。唯一無二。
shihorin

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4.2
交通事故で夫を亡くした未亡人とその加害者の物語。
成瀬巳喜男監督の遺作でもある。

司葉子の匂い立つような美しさにドキリとする。冒頭の幸せの絶頂の後ろ姿とラストシーンの後ろ姿の対比は成瀬流のやるせなさを感じる。

草笛光子演じる姉の他人行儀さと、森光子が演じる義姉の道義外れなふるまいを描くところは妙にリアルで好きだ。親族というのはこんなもんである。

途中まで「浮雲」のような展開を予想したが、そこは「乱れる」シリーズ。予想とは異なる展開だった。
Haruka

Harukaの感想・評価

4.0
全体的に淡くやわらかな色彩が使われており、まるで水彩画のよう、と思った。
ゆっくりとしなやかな動作と存分にとられた間も加わり、まどろみさえ感じさせる。
けれど、どうしても辛辣な過去が2人の間に立ち塞がる。2人の心は揺らぎ変化していけど、加害者と被害者という過去は変えられない。
言葉でなく映像で語る、そんな作品。
加山雄三が僻地に飛ばされる話をされたときに、つついてる鍋に虫の死体が漂う演出はいくら何でもバカだと思うけど他は傑作。
やっぱり拒絶する司葉子のくだりは心底ドキドキする。
YF

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3.7
夫を事故により突然失い、全てを奪われた女と、事故を起こした張本人の男。
女にしては死ぬほど憎い男だけど、段々男の悔しいほどの優しさ・誠実さに触れて、惹かれあっていく男女。でもやっぱり心の何処かに男に対する強烈な拒否反応があるから、好きとは言えない。
女の口からは好きという類の言葉は一切出てないけど、好きなのは確実。言葉ではなく、シーンの積み重ねで見せていくのは、流石の一言です。
あまり彼の作品を知りませんが、こちらは大好きだった作品です.司葉子サンも素敵で、複雑な心理を美しく演じていました.
kagata

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3.5
『乱れる』借りたと思ったら間違えてしまいました
今日見た演劇→ダダルズ『MからSへ』 @新宿眼科画廊スペースO
おもしろかったです
昨日見た演劇→地点『山山』 @KAAT神奈川芸術劇場中スタジオ
パワーがありました
成瀬巳喜男監督作品、司葉子、加山雄三主演のメロドラマ

幸せな結婚生活、お腹には子供も出来てこれからって時の交通事故による夫の死
轢いた相手は不可抗力が実証され無罪、せめてもの謝罪にと毎月いくらかのお金を支払う事で決着した

女一人の生活では苦しく身も心も疲労した中で、故郷の旅館で働き始める司葉子
事故が原因で恋人と別れ、会社からも左遷される青年加山雄三
男を憎む女と謝り許しをこう男が出会いを重ねるうちに変化する心情を描く、青森十和田湖の景色を背景とした物語

「東宝創立35周年記念作品」、であり成瀬巳喜男の遺作と2つも冠がついてる作品
見たの初めてだと思うだけど所々既視感、成瀬作品ってこういう系多いからかなー

ストーリーも演出も出演者もみんな良かったです、もう流石って感じのうまさ
加山雄三と浜美枝の別れのシーン、カーテンを閉じる女とそれを開き直す男、そして鍵を置いて出ていく女、この何も語らないけど全てを語るようなシーン良かった

あとはラストのほう、ラホール(初めて聞いた地名!)転勤直前の加山雄三の下宿を訪ねる司葉子
相当な覚悟と勇気で駆けつけたんだろうけど、道中のタクシーと旅館の窓から見た光景でまた変わる心情、ここも一切言葉を交わさないけど語ってるとこですよね

結局お互いに過去の黒い影を振り切れないってことだと解釈、これからも何かある度にどうしても思い出して微妙な空気が流れる、そんなの幸せじゃないものね

主演の2人良かったです
誠実に対応するが拒絶され憎まれ苦悩する加山雄三、その後見せる弱さや子供っぽくおどけて見せたりするところなんかも好き、それに対し少しお姉さん的な態度な司葉子もかわいくて良かった
脇でも森光子、草笛光子あたりは流石の演技と存在感
池袋・新文芸坐『成瀬巳喜男監督特集』にて鑑賞。

通産省に勤務する夫(土屋嘉男)がワシントンへの栄転が決まり、妻(司葉子)には二人の赤ちゃん(妊娠3ヶ月)という幸福な時間があったが、夫が交通事故で不慮の事故死。
交通事故は左タイヤのパンクによる不可抗力によるものとしてドライバーの男(加山雄三)は無罪となる。
残された妻は実家のある十和田湖近くに戻って、実家のオカミ(森光子)と一緒に宿屋で働くが、ドライバーの男も通産省に弱い会社のサラリーマンであり青森に転勤になる。
いつしか二人は再会し、何度も出会うことになる。

最初は「夫を殺した男」として「もう会いたくもありません!」と言っていた司葉子であったが、段々と二人は惹かれあうようになる。
このあたりの二人の関係が変化していく流れの描き方が秀逸であった。


映画の冒頭あたりで、司葉子の「バハハ~イ、ケロヨン」などは時代を感じる。

森光子の宿で働いている男は、(昨日新文芸坐でみたばかりの)『ひき逃げ』でひき逃げ犯人の代役で自首した佐田豊が演じていた。

宿屋の女将の宴会で酔っぱらった司葉子を後ろから追いかける「揺れるカメラ」が素晴らしい。

司葉子と加山雄三がようやく落ち着いて恋愛できるかと思うタイミングで、たまたま他人の交通事故現場・救急車で運ばれていく怪我人・その怪我人にすがる妻を、目の当たりに見る二人に「自分たちが出逢うきっかけとなった事故」が甦る。

まずまず楽しめる作品であった。
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