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「乱れ雲」に投稿された感想・評価

H

Hの感想・評価

3.8
 傑作『乱れる』の密度やキレに比べると劣るが、細やかな演出により上品なメロドラマになっている。心が揺れるここぞという場面でのカメラのトラッキング、アップ・ミディアム・ロングの的確な切り替えなど、カメラワークも繊細だ。傘や橋、列車などモノ使いも良い。人の視線にも気を使っている。例えば、青森で初めて再会したときのウェイトレスの視線(2人が良からぬ関係でなかったらこのウェイトレスを最後のショットにおさめる必要はない)、バーでの男たちの視線、雨の中みつめる老人たち。司葉子と加山雄三ではなく、救急車を見るカップルの姿も映される。これは事件がどれほど注目を集めるか、すなわち2人が世間の目を免れない運命を暗示している。色彩設計は美しく、上品な作風に貢献している。
 残酷なのは子どもの(本当の意味での)不在であり、お腹の子どもがどうなったのかはっきりと語られない。おそらく流産なのだろうか、メロドラマが本格的に始まってからもその影すら現れない。流産した現場に加山雄三がいるということも残酷だ。メロドラマを構築するために、不在ということすら作品世界から排除されるのが、良い意味でも悪い意味でも恐ろしい。また、加山雄三もすこしおかしく、掴みどころのない人物である。それが「許されない恋」がもたらす感傷を削いでしまっている。

このレビューはネタバレを含みます

女優司葉子の美しさを堪能するための映画。
メロドラマの徹底が図られ、メロドラマの底が抜け落ちる傑作。
これが遺作とは余りにも惜しい才能の早すぎる終わり。
り

りの感想・評価

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成瀬の映画は人の動きが可憐としか言いようがないけど、遺作だけあってもっとも洗練されているように思った
akubi

akubiの感想・評価

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冒頭から、英文科でてそのアクセントかとげんなりしてしまったし、過失とはいえひとを轢き殺してしまった男がひょうひょうと暮らし葬式にも現れるという、コメディホラーの様相。
とおもったのだけれど、加山雄三のむすっとした寂しそうな表情がとてもキュートで、酔っぱらって帰ってきて瓶のコーラを飲むところで完璧に彼に虜になってしまった。完敗。
森光子さんもお顔がちいちゃくてほんとうに可愛いくて、終始眼福で幸せな時間だった。

『人間の道』という言葉が重くのしかかってきたけれど、孤独をあたため合い、赦すという ひと の本来もつ優しさとユーモアが、ほくほくと心をほぐしてくれた。
oVERSON

oVERSONの感想・評価

4.4
若大将の空気の読めなさが、やや強引な展開を気にさせない。バカだろあいつ(褒め)。
2021-4
そんなピンポイントで
津軽で再会するかな?

序盤のユウゾウ・カヤマの
スレたイヤな感じの
エリート・サラリーマンの役が
すごいはまってた
   
2021.1.1
翳りある過去により理想的な未来を期待できないからこそ現在=映画が鮮明に強調されるだなんてなんともアクロバティック。終始画面をゴキブリのように覆い尽くす感情、緊張。不気味なリズム感で育まれるセンチメンタル。主演二人の切り返しに毎回息を呑む。
繰り返される踏切の信号。
由美子は、史郎から差し出されたチョコレートや酒には遂に手を付けない。
成瀬の遺作。サークのメロドラマっぽい。67年作とのことで、いわゆる成瀬の作家性によるものだけでなく、様々な名作の要素が混在していて観ていて楽しい。司葉子の名演が見られる。
私もU-NEXTリトライキャンペーン様々のおかげで「悪魔の毒毒」シリーズが観れました。ありがとうU-NEXT!ありがとうトロマムービー!!ありがとうロイドカウフマン!!

乱れるとかぶるとこ多いと思ってみたけど
これは結構説明過多だし何より加山雄三いくら自分も傷ついてるからと言って遺族に対してヘラヘラやベー行動とりすぎだろ笑

でも二人が世間の目に見張られた街から外に出る境界線として二人の前に機関車を通らせるあのダイナミックな演出とかはすげーーー!ってなる。
成瀬巳喜男監督の遺作。キャッキャウフフな幸せ夫婦生活から一転、夫を亡くした妻の喪失感と再生への祈りを、丁寧に情感豊かに描いて胸が苦しくなる。一方の加山雄三は若大将チックで、デリカシーのかけらもねえ天真爛漫。その残酷なまっすぐさに激しく母性がくすぐられてしまう。恋愛感情より、母性、希望、なんだよなぁ。中川梨絵が中川さかゆ名義で青森の純朴そうな女の子役。森光子と加東大介のカップルがすごくいい。何もかも失った者を受け入れてくれる、青森の風景が美しい。運命のいたずらに翻弄される人間の無力さと流されない強さがずんと心にしみる、素晴らしいメロドラマ。
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