作られた綺麗さではない自然の美は､フランス人がみるフランス貴族へのイメージにも少し盛り込まれていた気がする｡それはさておき､神に選ばれし食通にしか料理を堪能することなどできないのだ､などとほざく侯爵くそくらえだ｡本作はフランス革命前夜の時代背景を踏まえているのだが､パリの大革命に先立ち､田舎フランスでは料理人による小さな革命と新たな歴史の創始がなされていたということに少し胸が躍る｡侯爵への料理作りがモチベーションの全てだった男が､料理そのものへの愛や情熱､庶民の存在の認識へと移り変わった時､当たり前のように信じてきた秩序は崩壊する｡このような､貴族や王に近い者たちの意識の変化による秩序の崩壊は､間違いなくフランスの大革命への助力となったことだろう｡「レ・ミゼラブル」と同じくらい熱い｡
あんな暮らしがしたいです。
