このレビューはネタバレを含みます
「人の世話にはならず、人の世話は勧んでやりなさい」
人生に響く言葉が散りばめられていた。
終盤ようやく来た迎えの船で捕虜たちと日本から来た人々が向かい合っているシーン。今までならこのシーンを見て「本当によかった」と思っていただろうが、日本から遠く隔たった極寒のシベリアで捕虜たちが過ごした壮絶な日々を画面越しに見た後では、同じ日本人とはいえそのあまりの違いに愕然としてしまった。
山本を大病院で診てもらうため捕虜たちがストライキを起こしたシーン。暗闇の中、山本がよく歌っていた「いとしのクレメンタイン」をみんなで歌う。苦しい時、人間の極限状態が顕になる時、そこには希望としての音楽があるような気がする。
戦争映画は沢山あるのにいつまでも戦争がなくならない。やりきれないことばかりだ。いつか戦争がなくなる日はくるのだろうか。
でも希望は絶対に捨てない。見上げた空はどこまでも繋がっている。