Harumakiさん

ラーゲリより愛を込めてのHarumakiさんのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.0
【 あなたに、会いたい 】

この作品は、ソ連の収容所での出来事や、捕虜となってしまった兵士たちの想いなど戦争についての深く、悲惨な闇を描いた歴史的な作品です。
戦争についての深い作品の中では、捕虜としての視点が描かれる今作は少し珍しく、鑑賞しないと気づけないことも多くあったように思います。
ニノの追白の演技、中島健人や桐谷健太、松坂桃李の哀愁漂う役柄、北川景子の美人で圧倒される姿には、最近の日本の邦画の中で、最も涙腺を破壊されるものでした。
捕虜にされた日本人たちの、ただただ、帰りたい。というメッセージが描かれた、そんな作品でした。

●山本さんの強い意志と、未来への願い。
山本さんの筆頭と、実在した話が折り重なり描かれた今作。“山本”とはどんな人物で、何を成し遂げたのか、どのようにして人々に親しまれたのか、松坂桃李演じる松田さんの記録から語られていく。
何事にも動じず、諦めず、希望は捨てない。文学や芸術など、国の違いで感性を曲げないなど、過去の日本の姿からは想像のできない人柄でした。そんな人だからこそ、さまざまな人に親しまれ、支持されたのだと、今作を通じて何度も心を打たれました。
1番印象深い場面は、日本人捕虜たちが山本さんのためだけにストライキを起こした場面です。卑怯者と逃げてきた松田さんも、この瞬間、自分を成長へと動かしたこの場面には、本当に感動させられました。

●めげず、諦めず、信じ続けた妻。
満州を襲撃された際に、生き別れとなった山本さんと、その妻。幼い子供を4人抱えて暮らしを支えるというのはあまりにも厳しく、絶望的な状況だと、常に感じるような描写でした。それでも夫の帰りを待つと、必死に必死に生き抜こうとする姿はとても輝かしく、元気に装う姿からは悲しみや切なさが感じられました。
山本さんの死去が確認された後の、私は大丈夫と言い聞かせ、嘘つきと自分の思いが露わになるシーンは本当に切ないシーンで、あの時の感情は忘れることはないものだと思えます。
強く生き抜いた母親、息子である自分から見ると、本当に偉大で素晴らしい母だったのだと思えますね。

●一人一人が抱く想い。
山本さんと関わり、暮らし、労働し、時にぶつかる。そんな仲間一人一人には、帰国へ対する思いが存在する。みな、ダモイ(帰国)と口ずさみ、生きもがく。
ある人は、空襲で妻と子を亡くし、ある人は捕虜となり音信不通のまま親が亡くなってしまう。ある人は漁港中、密航だと決められ捕虜として理不尽な労働を強いられる。映画として作られた作品だとしても、こんな理不尽な世界があっただなんて、しかもソ連に残された日本人たちが、どんな思いで必死に生きていたなんて、作品を見ないと知るまでもなかったですね。
戦争は繰り返してはいけない、、、、本当に。
一人一人が、山本さんの遺書を持ち、読み上げていく場面は悲しく、とても印象的でした。一人一人に合った文章で、彼らの想いと記憶が相似していて感動しました。
(流石に泣きますよ、、、、、)

◉まとめ
この映画は、捕虜として生き争う日本人たちの、強い意志と山本さんによる未来への願いを描いた、戦争へのメッセージ性がある作品です。
号泣というか、なんというか、、、、深い涙を味わうことができる作品です。よく考え、日本にはこんな出来事があったのだと鑑賞して初めて知れることができました。
やはり、ニノの希望を捨てず、未来へ託そうとする演技は哀愁が漂い、それでも安心感のあるものでした。
エンドロールのMrs. GREEN APPLEの歌声や歌詞も、ベストマッチでしたね。
一度は見るべきである邦画ですね、、、、、、、感動しました本当に。














今年最後の映画館だと思います、、、そして最後の邦画で泣いた作品です。
エンドロールで余韻ひたひた、演技力に何度圧巻されました、、、。
本当に本当にいい作品だ!!
あと、クロかわいい(笑)
Harumakiさん

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