ふぇいるくん

ブラック・フォンのふぇいるくんのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.5
監督S・デリクソン、主演E・ホークの組み合わせと言えば傑作ホラー『フッテージ』を思い起こすわけで、そういう意味では今作は『フッテージ』の完成度には遅れを取っていると言わざるを得ません。

あまりに間抜けな殺人鬼の挙動や、緊張感の無い脱出劇、ほぼ機能していない様々なガジェットなど、突っ込みどころ満載の緩さは、ホラーとしてはなかなか集中して観るのに辛いものがありますが、しかしどことなく魅力的な本作。

私は映画経験値が低いせいか、クライマックスでようやくこの映画の実態がつかめましたが、言うまでもなくこれはホラー版の『ホームアローン」 であり、そう考えれば上にあげた緩さの原因は全て明らかとなるわけです。
いわば「黒い『ホームアローン』」。

しかし問題は作り手がどこまでそれを意識したのか、あるいは無意識にそう作ってしまっただけなのか・・・。
裸で寝落ちしてしまう殺人鬼のマヌケさは、戸惑うべき対象ではなくコメディリリーフだった・・と気づいた瞬間こそに、真の戦慄が待ち受けているのかもしれません。