あくとる

デューン 砂の惑星PART2のあくとるのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.5
"信/導"

前作はただの前日譚、エピソード0に過ぎなかった、と言ってしまいたくなるくらい格段に面白くなっていて驚いた。
静のPART1に対して、圧倒的に動のPART2。
自分のように前作がイマイチだった人にも是非見てもらいたい壮大なSFアドベンチャー。

そもそも前作は、ひたすらダークでシリアスなムードの一辺倒で爽快感がなく、鈍重で冗長で起伏に乏しい脚本が問題だった。
というかアトレイデス家がハルコンネンと皇帝の策略にハメられるだけの話をどう楽しめば、カタルシスを得ればよいのかと。
しかし、それは本作を楽しむための丁寧な下準備だったのだ。

本作は、前作で命からがらに逃げ延びたポールが、フレメンの指導者として覚醒するストーリー。
前作で諸々の説明は済んでいるため、本作はハルコンネン家や皇帝への復讐を求心力に、大きく話が動き出す。
3時間弱あるので疲れはするが、無駄に思える展開はないので全く退屈しなかった。
ダークでシリアスなムードは保っているのだが、本作は圧倒的にアドベンチャー感が増してワクワクするし、決して多くはないが絶妙にユーモアも混ぜているところが風通しを良くしている。
また、ヴィルヌーブ監督にしては意外なほど熱い原始的躍動感に満ちており、民がポールを称える姿は『ブラックパンサー』や『バーフバリ』を思い出す。
アクションの見せ場も多くなり、キレも良くなっている。
そして、何と言っても圧倒的な画力をぜひIMAXのような大画面で見てほしい。

というふうに、どの点を取っても見違えるようにブラッシュアップされており、監督が交代したのかと思うほど。
『帝国の逆襲』や『ダークナイト』級は言いすぎかもしれないが、それらに匹敵するような素晴らしい続編だった。