りょう

デューン 砂の惑星PART2のりょうのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0
 普段は「控えめに言って」という表現を使用しませんが、これは控えめに言っても傑作でした。これ以外に表現できる語彙力がありません。
 ようやく本日からクリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」が日本でも劇場公開されるので、IMAX劇場の占拠前に…と思って、慌てて今週観てきました。やっぱりグランドシネマサンシャイン池袋のフル規格のIMAXは素晴らしいです。映像も音響も最高の環境でした。
 紛れもないSF大作ですが、ワクワクするようなアクションの連続ではないので、必ずしも万人受けするものではありません。個人的には前作を上回る“Part2”として、また1つ歴史に残る傑作だと思いました。遥か未来の物語でも、民族や宗教をめぐる社会環境が古代に回帰したような雰囲気が独特です。少し「スターウォーズ」を模倣している印象ですが、宇宙空間の描写を排除しているので、そうした懸念も払拭されています。
 登場人物が多彩で、もっと複雑な展開かと思いましたが、なじみのない固有名詞に慣れてしまえば、意外とシンプルでわかりやすい物語です。このキャストのこのキャラクターが「ここから登場するの?」というマンネリ化しない展開で、気付けば終盤になっていました。物語の展開は、ところどころ端折って急いでいたのかもしれませんが、一つひとつのシーンはめちゃくちゃ丁寧なので、そんな印象もありません。
 Hans Zimmerの劇伴は、“Part1”の旋律を基調として、さらに劇的な作風に仕上がっています。もう何度もサントラを聴いていたので、それぞれの楽曲とシーンのマッチングの相乗効果で感動が倍増しました。
 ポールとチャニの恋愛物語に浸っていると、終盤で衝撃の展開になります。彼女からすれば「私はなんだったの?」という、ひどく放置されたままのラストシーンが悲痛です。このエンディングで“Part3”を期待するなというのは無理だし、若い2人のキャストの年齢からすると、遠くない未来に実現しそうな予感です。
 ちなみに、166分の長尺なので、あらかじめ水分摂取は控える必要がありますが、ほとんどが砂漠のシーンだし、登場人物が“水”を求める物語なので、のどの渇きには注意が必要です。
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