シカク

カッコーの巣の上でのシカクのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.9
原作はケン・キージーの1962年発表の同名の長編小説で、数あるアメリカンニューシネマ群でも後期の傑作と名高い本作。この作品の直前の、さらば冬のかもめ、チャイナタウンを観てジャックニコルソンにやられてずっと観たかった映画。 
 
院内の秩序を冷徹に管理するラチェッド婦長は悪役そのもの。だが、自分的には帰宅際に見せた微笑から見てとるに意外とウェットな人間的なところも持ち合わせおり、精神病棟での患者を統率する婦長という立場から、本来の自分を押し殺してたんだろうと思う。当時のアメリカの世相が反映された病院内に表される抑圧的社会体制、それに対となる反抗的で粗暴だが根は実直でいいヤツの、主人公マクマーフィーのまわりを巻き込む行動で、患者たちに徐々に支持されて彼らの人間らしさを取り戻し、映画のテーマである人間の尊厳をいまいちど考えさせられました。 
これから繰り返し何度も見たい傑作の名にふさわしい映画。
 
マクマーフィーが電気ショック療法後の、「この一員なのは名誉だからな」はチーフやビリーなどの患者たちの、やはり人間の尊厳を声高らかに訴えた。
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