ジャック・ニコルソンがとにかく魅力的。破天荒に見えて、最も懐が深く個々の人間を理解し受け入れている。マクマーフィの影響で患者達が少しずつ自分らしさを取り戻していく様子は小気味よい。
管理する側と自由を求める側の攻防。婦長の抑えた演技も光る。マクマーフィの影響力を認めるが故に怖いのだ。決められた日常を淡々と何も考えずに続けることは、心も揺らぐことなく、自分の今を守る。思考停止は気持ちを安らかにする。でも、それは正しい？それは誰かを幸せにする？
自由には責任が伴い、人にコミットするには勇気と覚悟が要る。デカい男、マックに眼を開かされた（いや耳か）チーフの最後のシーンはまさに覚悟。駆けていく大きな後ろ姿に希望を感じられたのが救い。
ベティ・ブルーのラストを思い出した。
