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もっと超越した所へ。のjunのレビュー・感想・評価

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)
3.8
観る日のコンディションによって捉え方が変わりそうな映画だなと思いました。

4人の女性の性格をお米の扱い方で表現していたのがなかなか面白くて好き。

重いお米を買って3円の袋代をケチって二重にしなかったちょっとケチくさいデザイナーの真知子。買ってきたお米を米びつに移し替え雑穀米を混ぜて炊き上げる丁寧な暮らしをしている売れない子役上がりのタレント鈴、お米は炊くよりパックを買う派で汚い部屋に住むギャルの美和、仕事場に丸めたおにぎりを持ってきていて最新機器に疎い風俗嬢の七瀬。
それぞれ性格の違う一見接点さえなさそうな4人だけど悲しいかなダメ男に惹かれてしまうという共通点があり…

ダメ男の方は妙にハイテンションで一見彼女に優しいのに大事な時に自分勝手に振る舞う泰造(ちなみにオカモトレイジだと後から気づいた)と、ゲイで女友達と同居しているけど相手の女の子が自分を男として見ているのをわかっていながら相談相手が欲しくて彼女を利用している自覚のある富、さほど売れてないにも関わらず妙にプライドだけが高く周りを見下す発言が多い俳優の慎太郎、そして働きもせず元カノから毎月振り込まれるお金で生計を立てるYouTuberの怜人。


4組のカップルがそれぞれに描かれますが実は意外な繋がりが判明したりと終始こちら側が暇を感じる隙がなかったのが良かったです。


《以下少しネタバレあり》







ラストの女性陣の開き直り具合に笑ってしまう。似たような経験がある女性も結構いそう。『買い物に行ってお米の袋持ってくれる人って必要だしね!!だから私はダメ男と一緒にいることにする!』って自分に言い聞かせる理由がそれかいって一瞬なるけどお米という日本人とは切り離せないものを理由に持ってくるあたり上手いなぁと思ったし、実際結構大事なポイントだったりするから妙にリアルに感じられた。

元が舞台作品だからか急に終盤から演技がやたらオーバーになるのはビックリしたけど、文字通り壁も時間も超越していく演出が今まで観た映画にはない展開で目が釘付けでした。

ラストの展開についていけない人と好きな人に分かれそう。
私は割と好きな展開だったのでワクワクしながら最後まで観られました。

エンドロールのaikoが最高に世界観に合っていたし、インスタントカメラで撮ったかのようなエモい写真で締めくくる感じも好みでした。

あっちゃんのセリフは結構響くものが多かったな。
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