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ウーマン・トーキング 私たちの選択のiccoのレビュー・感想・評価

4.2

なんか凄いの観てしまった。
映画も実際の事件もあらすじだけ追ってからの鑑賞だったけど、何が一番びっくりだったかというと、犯人たちが全く出てこないのに彼らに対しての女性達の恐れ、怒り、居なくなった時の不安がひしひしと伝わってきて、まるで自分もその男性陣をみてきたように存在を感じたこと。彼らがどんな奴らなのか、どれだけ女性達を人扱いしていなかったかが会話の隙間からとめどなく漏れ出して、怒りがおさまらなかった。

このコミュニティの女性達には意見を述べるという、人として当たり前の権利すらなかった。非道な問題が起こって初めて、女性達だけで問題解決に向けて話し合いを重ねて、自分たちで決めた結論で行動をした、というのが大きなテーマなんだと思うのだけど。

とにかく学ぶ権利を奪われているのがしんどい。女性が賢く知恵をつけることに対しての男性の恐怖心なのか、閉鎖的な環境の中で普通の教育を受けられず、その普通を知らないことによる歪みがこの問題を大きくしてしまったように思う。
非道な暴力は女性達を人扱いしていない延長線で、なぜ人扱いしないかというと、そういう教育をコミュニティの中で受けたから。それは今の世で村の外にいたら逆に絶対やってはいけないこととして教えられる事を、これが正しい考えだと教えられていたからだ。教育は洗脳。学びの大切さを改めて感じた。

女性達が初めて男性達に意見したことが、言葉ではなく行動だったことに色々考えさせらる。
閉鎖的な環境で同じ価値観を共有し、同じ言語を持っていたはずなのに、男女の間では通じる言葉を持たなかったんだなと思う。
事件があまりにも非道なのはもちろんだけど、それ以上にこの問題を作り出した環境について考える必要があると思った。

ほいでテーマ曲だけど。
私、この歌大好きだったのね。
大好きでカバー曲も原曲も大好きだった、のだけど。
もうこの曲聞くたびに村のことを思い出すわきっと。 

えっと長くなりましたが、直接的な表現はされないので、娘にもみせられるなと思いました。(観たがったけど、暴力的なシーンに弱いから今回は夫と観ました。)
老若男女を問わず観て欲しい作品でした。
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