marimo

ウーマン・トーキング 私たちの選択のmarimoのレビュー・感想・評価

3.7
キャストを見て真っ先に…
えっ?新旧リスベットじゃん!
ってテンションが上がる(ってこの気持ち誰か分かって)

そうです、ルーニー・マーラとクレア・フォイが並んでるだけで鑑賞理由としては十分

もちろん事実に基づいた作品というのは事前に知っていたものの内容はかなり衝撃的
事が明るみになり逮捕者が出るまで村全体で女性への性的暴力を容認していたという出来事
女性たちの訴えにも“悪魔の仕業だ”“女の妄想だ”だと聞き入れられず、望んでいない妊娠や精神疾患、安心して眠ることも許されない恐怖

今と違って通信手段も未発達な時代で、隔絶された小さな集落ではこのような事も起きていたのだと…
女性は文字の読み書きを学ぶ事も許されずに、男性に支配され、そのコミュニティから抜け出すことも出来ない
情報が断絶されているという事は、同時に外からの情報も得られず非人道的な構造も生み出せてしまう…

…と思っていたのですが
観賞後にこの作品の基となった実際の事件を調べると…2009年?
ほんの少し前の出来事であることと、情報に溢れた現代においてもこのようなコミュニティが存在するという事実

事件の詳細は「ボリビア メノナイト」などの検索ワードで記事を探して読んでほしいです
加害者側には何の罪悪感も見られず、そのコミュニティでは女性に対しての人権が全く形成されていない事が分かる

事件そのものは間接的な描写でしか描かれないため
作品の主軸は、意見の異なる集団における対話と民主主義に則った最終決定

それまで自分の意見や主張を通した事がない女性たちによる対話という展開のため
初めは感情的に収集が付かないが、内容を整理して手探りながらそれぞれの意見を多角的な視点で掘り下げていく
その場にいる人に全て平等に発言の権利が与えられて、自分たちの未来がより良いものとなるための方法を選択する
そんな民主主義の根本をあらためて再定義され再解釈できる構成

あくまでフィクションが故の最後の決断が現実的なものなのかどうかは置いておくとして
そこにあるのは希望に満ち溢れた結末で
今置かれている状況にただ流されるだけでなく
より良いものとは何かを議論する
そんな当たり前のことと向き合える

観賞後にパンフレットで相関図を見ると
あっ、この2人は姉妹だったのか…とかがちらほら
少し関係性が分かりづらかったかなと思うので
事前に相関図を頭に入れてから鑑賞した方がいいかも

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▼劇場
 チネチッタ
 CINE1
▼作品名
 ウーマン・トーキング 私たちの選択 字幕
▼日時
 2023/6/14(水)
 10:50~12:40
▼座席番号
 D-10
marimo

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