水蛇さんの映画レビュー・感想・評価

水蛇

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大いなる不在(2023年製作の映画)

3.9

矍鑠としたおじいちゃん教授のスピーチ完全再現で笑った。タフなおじいちゃん教授は一様にこのスピードでこの声量で独特の強弱アクセントがある。藤竜也とんでもないな。

たまにパートナーに対して「ここまでずっ
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ラスト・ホリデイ(1996年製作の映画)

4.6

古ぼけた時代のガサガサした質感、でも10代の感覚は国も時代も超えるからなんとなく入っていける。妙に胸が痛い。警察の露骨な横暴はソ連の名残があってあまりに異文化なんだけど、それでも。

監督自身の経験に
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マリー・アントワネット(2006年製作の映画)

4.8

孤独孤独孤独。すべてが薔薇色で酸素の薄いこの孤独、ソフィアも当然知ってるんだろうなって思いで画面見えない。

男と女 人生最良の日々(2019年製作の映画)

3.4

名作をいつまでも擦ってると思わないでもないけど、こうなるしかなかったという愛情に満ちててこれもいい人生。

すべてが完璧で夢のようでこわくて飛びこめなかった愛ってわかる人にはわかると思う。完璧ならいう
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

4.0

かわいすぎる。いつか日本版「オーシャンズ8」を実現してくれ。彼女達ならできる。

名前のない少年、脚のない少女(2009年製作の映画)

1.8

ああいうことがしたかったのかな?撮りたかったのかな?ってところはあるけど、仮にそうだとしてもアウトプットがこれだとさすがに困る。全編「10代の子が思い描く儚くて切なくて退廃的でかっこよさげなもの」のつ>>続きを読む

途方に暮れる三人の夜(1987年製作の映画)

4.3

大好きなグレッグ・アラキとの出会いだった。色褪せてない、すごい。

こんなまごついた夜があったんだよ。こんな画質の悪い時代は知らないし、ゲイの友人をわたし達カップルのごちゃごちゃに巻き込んだこともない
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BIUTIFUL ビューティフル(2010年製作の映画)

4.1

公開当時はこれを消化しきれなかった。でもエンディングに近づくにつれて、イニャリトゥ監督の中のなんとか表に出ようとしてる「イメージ」が一度や二度や2時間くらいでは俯瞰できないくらい大きいのが実感できた。>>続きを読む

24アワー・パーティ・ピープル(2002年製作の映画)

3.8

ジョイディヴィジョンとマンデーズにフォーカスしたマッドチェスター伝説、という名のトニー・ウィルソンの主観。

10年くらい前に出来心でマンチェスターに住んでたけど、ロック聖地巡礼!のノリでもまあまあし
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笑いながら泣きやがれ(2009年製作の映画)

3.5

タイトルがいいよね、邦題も素直だし。地味でチープな第一印象を裏切るちょっと不思議な風味のサスペンスでなかなか良作。ハマる人はハマるやつ。

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

-

基本的には好きなんだけどミスターローズはなめてるとしか思えない。娘をレイプする父親が中絶手術にショックを受けて反省するか?そんな愛情と感受性があったらレイプしないよ。近親相姦レイピストに夢見すぎだし妙>>続きを読む

ふたつの部屋、ふたりの暮らし(2019年製作の映画)

4.0

こんなふうに社会に追いつめられたレズビアンいっぱいいるはずだよね。特にこのくらいの世代には。みんなの生活圏にもきっといる。いないわけがない。

バレエボーイズ(2014年製作の映画)

3.7

バリバリ思春期なのにカメラの前でもあんまり気負いがなくて清々しい。そういう発露として印象的なのはロイヤルバレエ学校にいくついてチクッと言ったところ。青春を賭ける彼らの痛みを感じた。

バウンティフルへの旅(1985年製作の映画)

4.0

ワイエスの「クリスティーナの世界」みたいなラストの画に固唾をのんで見入ってしまう…

ジャケやあらすじから予想してたものに比べるとビタースウィートすぎて妙な生々しさあった。アメリカ映画らしい人生の晩年
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何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

3.8

「サンセット大通り」とか「欲望という名の電車」の系譜だけどぶっちぎりでこわい。ノーマもブランチもこんな白塗りメイクしないから敵うわけないんだけど。

ここまで露悪的かつ下世話な目で語られるジェーンとい
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少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)

3.4

これ当時「GO」の窪塚洋介くらいのインパクトがあった。エズラ、美しいとか以前にケヴィンすぎる。似合いすぎている。

こういう問題児がいると世間はすぐ母親や教育のせいにして責めがちだしそういうケースもも
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if もしも・・・(1968年製作の映画)

4.4

映画では鬱陶しい学校は破壊してなんぼ。イギリスのパブリックスクール出身の友人がその狭い世界をふりかえって「純粋にゴミ」って言ってたけど、たぶん日本だろうとイギリスだろうと世界中どこの寄宿舎もほぼこんな>>続きを読む

死にたいほどの夜(1997年製作の映画)

3.0

「ファイブ・イージー・ピーセズ」には狂おしいものを感じるけどニール・キャサディは普通にろくでなしって思う。わたしにもわたしの女友達にも近寄るんじゃないぞと思うんだけど、むこうもわたしにジャッジされるた>>続きを読む

トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代(2024年製作の映画)

4.1

ぜんぜん世代でもファンでもなかったけどものすごくいい。わたしにとって「親の好きな曲」止まりだったものがそれ以外の輪郭と物語を見せてくれて、なんの思い入れもないのに泣いてしまった。ひとつのエピソードを豪>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

4.3

ギリシャ語の響き大好き。劇場で観てよかったから配信でも浸ってみたけど、やっぱり没入感がちがう…

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

3.5

ファルハディ「美しい都市」と並んでイランの死刑制度がわかる。政教一致の国家は事情がちがいすぎてそれ当事者に負わせていいものじゃないでしょって思っちゃうけど、むこうから見たら日本の死刑制度も意味不明なん>>続きを読む

ラストデイズ(2005年製作の映画)

-

「ここから出ていってもいいんだよ」ってカート(仮)に言うキム・ゴードンに声を上げて泣く映画。カートを見送った人達のためのセラピー。それ以上でも以下でもない。

レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

2.0

「パーフェクト・ブルー」へのオマージュがあると知って再見。「π」を除いてアロノフスキーとはこの時代からすでに合わない。社会派を気取った安っぽい狂気ごっこのつめあわせだけど00年代初頭ってやたらこのタイ>>続きを読む

シュガー(2004年製作の映画)

3.5

この低評価もやむなしという納得と、でもけっこうよくない?っていう気持ちがある。サラ・ポーリーも出てるよ。

ちゃんとアマチュア以上の映像と脚本で観られるブルース・ラ・ブルース(原作)って貴重だからなん
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

-

プーチンは死んでも支持できないし、ナワリヌイの文字通り命がけの活動は誰にでもできることじゃはないし、あんなふうに死んでいい人なんていないけど、ここでもわかるように彼が(親)ネオナチであることももっと知>>続きを読む

SOMEWHERE(2010年製作の映画)

4.2

夏が近づくと観ちゃう。それで毎年こういう服を買っちゃう。あの眼鏡が似合うエル最強。

本当に若い娘(1976年製作の映画)

4.0

原題と英題は「リアルな少女」的な意味だと思うけど、それを「本当に若い娘」にしたのには「博士の異常な愛情」みたいな事情や洒落でもあるんだろうか。

ある意味おそろしいくらいリアルだった。思春期特有のセク
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フェド・アップ(2014年製作の映画)

3.6

「ピザは野菜」の経緯、笑えないやつだった。

食品業界の幹部や彼らに媚びる政治家も、国民(特に幼いマイノリティ)には食べさせるけど自分達や家族は口にしないんだろうね。そんなの裏切りでなくて何だというの
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野いちご(1957年製作の映画)

3.6

いろんな傷が何代にも受け継がれてしまう前に間に合ってよかった。これからも両手いっぱいにお花抱えて生きていこうね。

霧の中の風景(1988年製作の映画)

5.0

語り得ないものについては沈黙しろというヴィトゲンシュタインの言葉が真実すぎて、会話はおろか日記でもこの映画に触れたことはない。でもこの作品がわたしの中に空けていった穴はひとりで抱えるにはあまりにも重い>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.8

この何年かの推し文化の熱狂ぶりに戸惑うことが多いなか観るとまた凄みがあるな。わたしもいろんな人のファンで応援してはいるんだけどそれは部屋で美術館でライブハウスで劇場で街でひとり泣くという感動以上のもの>>続きを読む

ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.1

ラストシーンで声上げそうになった…観てよかった…

事の真相はさておき正義感が強くてフェアであろうとする人ほどこうなりがちだよね。根回しなんてせず基本的に一対一で話し合いたい、人前で泣いたらずるくなっ
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ジョッキーを夢見る子供たち(2008年製作の映画)

4.0

馬を撫でながらひそひそ語りかける姿の色っぽさにめまいがした。恋愛かと思うほどの信頼と親密さなしにできるスポーツじゃないってよくわかる。

ヴィトン前で「Louisだって!名前が一緒だ!」ってきゃっきゃ
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

3.6

キーラってこんな歌声かくしもってたの?アルバム出してないの?ジェームズ・ライトンの出番じゃない?

バレエピアニストを引き抜くシーン大好き。外資系の解雇とか退職のスピード感で笑う。全体的に普通にウェル
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94歳のゲイ(2024年製作の映画)

4.5

「遺書」、叶うなら手元に置いて読みたい。

気さくな明るさのなかに、強烈にのたうちまわって泣き叫びたい思いを乗り越えてしまった人特有の凪があった。長谷さんが稀有なほどまっすぐでチャーミングで愚痴ひとつ
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トゥルー・ストーリー(1996年製作の映画)

4.4

真珠のような作品。

「これは映画じゃない。だから"役"はないんだよ。きみは"役"がなくても彼の人生に関わることができると思う?」