水蛇

サイダーハウス・ルールの水蛇のレビュー・感想・評価

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)
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基本的には好きなんだけどミスターローズはなめてるとしか思えない。娘をレイプする父親が中絶手術にショックを受けて反省するか?そんな愛情と感受性があったらレイプしないよ。近親相姦レイピストに夢見すぎだし妙に優しい。それで刺されたら自己犠牲に酔って「俺が悪かったんだ」とか…そんなの知ってるよすぎてだから何?この件でローズ・ローズに非がある可能性とか誰も考えてないから心配いらないです。しかも「あのナイフを持ってれば若い女性がひとりでも安心だ」ってよりにもよって彼女の心と体をぐちゃぐちゃに傷つけて引き裂いて中絶までさせた張本人が身の安全を気にしてるのこの世で最悪のジョークじゃん。なのになんか娘を庇った愛情深い親っぽくかっこよく自死の体で退場できるなんて欺瞞だよね。本来は娘をレイプして妊娠・中絶させた犯罪者なのにしれっと自分で格上げするな。なにが「自殺ってことにしてくれていい」だ、犯罪者として罪を背負ってよ。

恐怖を抱きながらもまだしらないものを見たい、すこしでも多くこの世界に触れたい、生きていく上でしかたないかさぶたは愛したいという勇気はほんとに好きなんだけど、ミスターローズへの甘さがそれをぶち壊していく…。子どもの頃に観た時はまだ実感がわかなくて、この暴力性を過小評価してた。
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