浅香奎次郎さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

浅香奎次郎

浅香奎次郎

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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

5.0

CGの無い時代で、ここまでの映像を制作したキューブリックの発想とスケールは、他の作品と比類なし。科学的根拠とキリスト教的進化論に基づいたストーリーは、AIによる暴走だけでなく、人類の歴史やその後の未来>>続きを読む

デスティーノ(2003年製作の映画)

4.0

ダリとディズニーの共同製作。真実の愛を求める少女についてのシンプルかつ、圧倒的芸術美を表現した作品。

地獄の黙示録(1979年製作の映画)

4.5

フロイトから影響を受けた人間の無意識による戦争の正当化に、正気を失って危険人物となった主人公。アメリカからベトナムへの物理的な移動とともに、精神的な移行にもなっていく。1960年代のカウンターカルチャ>>続きを読む

8 1/2(1963年製作の映画)

4.0

現実と夢が交錯し、監督自身の思いを描いた作品。

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

4.7

デヴィッドリンチが自身の映画で完璧と称した映画。彼の学生時の出来事と夢を再現した。

ブリーダー(1999年製作の映画)

3.5

後味の悪いラストと要所に出てくる場面の切り替えが気持ち悪い。

ショコラ(2000年製作の映画)

4.5

宗教やその場の仕来りに忠実で現実に盲目になり、外部から来た人間を排他的に扱う住民が印象的。彼らは今ある価値観に囚われ、物事を一方向でしか見れない人間である。

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.5

犯罪者に戻ることをも是とする政府、自由人を気取る個人の意思が、政府の大衆操作の手のひらの上で踊っているだけ、という痛烈な話。現代社会へのアンチテーゼ。

俺たちに明日はない(1967年製作の映画)

3.9

対抗文化が盛り上がった60年代末、夢と希望=キレイごとを描く映画に米国は飽きていた。そこに強烈なアンチテーゼを投げかけ、アメリカン・ニューシネマというジャンルを確立した作品。

マウス・オブ・マッドネス(1994年製作の映画)

4.5

現実と虚構の見分けがつかない不条理な世界。そこへ引きずり込まれていく保険調査員。恐怖の街から脱出しようと車を延々走らせても、なぜかいつの間にか元の道へと戻ってしまうという絶望感。何が起こるのかわからな>>続きを読む

赤ちゃんよ永遠に SFロボットベイビーポリス(1972年製作の映画)

4.0

環境汚染と食糧危機が世界を覆い、人口増加を食い止めるべく出産禁止令が出された近未来の社会。当時はベトナム戦争の影響も世論を騒がせ、環境破壊の恐ろしさや食糧不足が表面化した時代。殆ど予算も掛らない作りで>>続きを読む

ソイレント・グリーン(1973年製作の映画)

4.0

人口爆発により資源が枯渇し、格差が拡大した、暗鬱な未来社会で起こる殺人事件とその背景を描いたSF映画。
70年代前半に温室効果や食料問題に焦点を当てているのがすごい。

THX-1138(1971年製作の映画)

4.0

ロボットの警官がいて厳重に管理されてて、白一色の世界。薬を飲まされて娯楽も制御される。観ていて何か根拠のない不安を覚えた。

キャット・ピープル(1981年製作の映画)

3.3

SFX技術が発達した80年代だけに、文字通り”豹変”する場面が見どころのひとつ。デヴィッド・ボウイの曲と歌声が独特のけだるさと鋭さを醸し出す。

デビッド・クローネンバーグのシーバース(1975年製作の映画)

3.7

セックスによって人から人へ移っていく寄生虫による恐怖を描いた侵略SF。

M(1931年製作の映画)

4.5

1931年という年は、ヒトラーが権力を掌握する直前の時期に当たり、ドイツ社会には異様な雰囲気が蔓延していたに違いない。この映画には、そうした社会的な雰囲気を反映している。
殺人犯が異常な性倒錯者という
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ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

4.0

ハロルドは過保護ながらも自分に真摯に向き合おうとしない、自分のレールを轢きたがる母親の興味を引くべく狂言自殺を繰り返している。ある時は首を吊る真似を、ある時は腹を掻き切る真似を。
彼が自死を演じるオー
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ウォッチメン(2009年製作の映画)

3.8

ヒーローの登場によって塗り替えられた第二次大戦後のアメリカ、という架空の歴史を紐解く今作。その中で重要な役割を演じるコメディアンとロールシャッハは、それぞれに極端な方法論を持つヴィジランテとして象徴的>>続きを読む

ザ・ロード(2009年製作の映画)

4.5

本作はSF的舞台設定で、すでに文明が崩壊し、生き残りの人間はなぜか人喰い人種と化している。そんな地獄を、理性を保った親子が旅する物語だ。
文明が崩壊してしまえば、社会システムとしてのディストピアは消滅
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

あちこちに施されたサブリミナル効果は、無意識のうちに観客の攻撃性を刺激している。サブリミナルカットにわざわざモザイクをかけるほど、わかりやすかった。わかりやすさもまた、ディストピア社会を考える上で重要>>続きを読む

クロンボ遊撃隊 vs KKK団(1976年製作の映画)

4.0

単純な作品だが、人種間闘争という現在では社会派作品あたりでヌルく描かれる程度でしか取り上げられない題材を天真爛漫に娯楽映画にしているとても貴重な作品。

パージ(2013年製作の映画)

3.0

一晩限りの無政府状態を意図的に作り出すことで社会の貧困層が犠牲となり、金持ちは安穏できる体制が維持できる。

コミック雑誌なんかいらない!(1986年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

今作のメディア批判は、他の作品よりも突き刺さるものがある。ラストシーンの血塗れの手でカメラを覆う内田裕也が映し出されたテレビがブツッと消える様は最高にクールだ。

サランドラ(1977年製作の映画)

2.6

文明社会からやってきた家族が車の故障から荒野で立ち往生し、そこに住む山賊に襲われ、殺し合いに発展するだけの映画。おそらく最も低予算で作られたリアルなディストピア映画。

地球の静止する日(1951年製作の映画)

3.8

人間の核兵器開発に危機感を覚えた宇宙人が地球にやってくる。核戦争後の世界に生き残ったグループのサバイバルを描いた作品だが、啓蒙的な内容というよりは、核の影響で現れた突然変異モンスターの描写により多くの>>続きを読む

放射能X(1954年製作の映画)

3.5

原爆実験の結果、蟻が巨大化することで、放射能が自然にどんな影響を与えるか分からないという恐怖を表現した。

猿の惑星(1968年製作の映画)

5.0

核は今まで人類が築き上げてきたものを全て破壊してしまう。数千年をかけて達成した人類の業績や、芸術、技術が無に帰して、ほとんど神のような優れた存在であるという思い上がりが私たち自身を焼き尽くし、何もかも>>続きを読む

華氏451(1966年製作の映画)

5.0

好きなディストピア映画の一つ。
本のない世界。人類が今まで積み上げてきた知識が焼かれる。想像しただけでも恐ろしい。
今作において最も恐怖する点は、人々が読書禁止を強制されたのではなく、自らそれを放棄し
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1984(1956年製作の映画)

5.0

ディストピア映画で最も好きな映画の一つ。あながちコロナ以前の世界情勢とGDPの推移などの情報が違わないところが怖い。まず反共小説を共産主義者であったオーウェルが書いているというのも面白い。全人類強制的>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

ジョーカーがアーサーを殺したのではなく、世間がアーサーを殺した。現代における悪が生まれるメカニズムを気持ち悪いほどリアルに描いた作品。特に、ジョーカーになった後、抗精神病薬が不要になる部分。表現したか>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

5.0

貧民、お金持ちとの差別化をカメラワークで表現していて、韓国の社会情勢、主に格差社会を映画という一つのコンテンツを通じて、観客に伝え考えさせる映画である。

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