フロイトの潜在意識に影響を受けたニューロティック・サスペンス。マザコンが行きすぎたばかりに女性を恋慕/憎悪する夫。ブラザーコンプレックスでやたらと干渉してくる夫の姉。挙動が怪しい秘書。登場人物がみな病>>続きを読む
アニエス・ヴァルダによるジェーン・バーキンの私的な肖像画。映画や歴史上の女性をジェーンに当てはめて劇中劇を自由自在に撮る一方、ジェーンとの対話が差し込まれる。内容自体はさほど面白くはないが、割と好きな>>続きを読む
初めてのアニエス・ヴァルダ。娘(シャルロット・ゲンズブール)の同級生(25歳くらい下)に恋をしてしまう中年女性の純愛物語。いまならば確実に犯罪行為になるであろうが、そこは流石アニエス・ヴァルダ。家父長>>続きを読む
駆け落ちした夜には水疱瘡に罹り、その後一年間は軍隊生活へ。休暇で花嫁の実家に喜び勇んで行ったものの、家じゅう謎の親戚で占拠され、二人きりになる時間がない。延々と引き延ばされる夫婦の営みを面白くおかしく>>続きを読む
ダグラス・サークが一部演出を担当。自らの美貌を武器に貧困から這い上がり、金も名声も男も手に入れるファム・ファタールもの。男を誘惑あるいは陥れる時のヘディ・ラマーの「してやったり」の微笑みに反吐が出そう>>続きを読む
一代で財を成した銀行家、エドワード・G・ロビンソンと、その4人の息子たちの愛憎劇。貧しい人にはよい条件でお金を貸すなど人情に厚いところもある反面、「この国は自由の国だ。弱肉強食だ」といい、兄弟同士で憎>>続きを読む
スコセッシが最も影響を受けたギャング映画だと知り、期待して観たのだが、ボチボチだった。一般市民が知らず知らずのうちに悪事に加担してしまう社会構造の恐ろしさ。主人公である弁護士が、ナンバーくじを取り仕切>>続きを読む
冒頭の動物園のシーンで昔観たことがあることに気付いたが、新鮮な気持ちで楽しめた。子連れの男女が結婚に至るまでをコミカルに描いているが、小生意気な子供たち、キャンプ場まで押しかけてくるテレビ女優、脳筋丸>>続きを読む
夫の愛人が何者かに殺され、夫に殺害容疑が…。無実を信じる彼女は、愛人の夫と一緒に危険な素人探偵行に身を投じる。フィルム・ノワール屈指の悪役俳優、ダン・デュリエとピーター・ローレの対決が拝める。原作者の>>続きを読む
ギャングの情婦を探す私立探偵=ロバート・ミッチャムが、逆に彼女の虜になり…。話自体はなんということもないのだが、悪女に取り憑かれたがために破滅へと至る男たち。これぞフィルム・ノワールといいたくなる。作>>続きを読む
被害者側への罪の意識がいつの間にか愛情に変わっていくという設定は、成瀬巳喜男の晩年のメロドラマ『乱れ雲』を思い起こさせる。やや強引な展開はご都合主義ともいえなくもない。しかも、ロック・ハドソンの献身、>>続きを読む
『拾った女』に引き続いて、人質に取られたヒロインが犯人に好意を持つ謎展開の映画。立て籠っているのに家族を自由に外出させるし、疑心暗鬼によって自ら墓穴を掘るし…。どうしようもない小悪党の哀れな行く末!>>続きを読む
地下鉄でキャンディという女の財布をスリ取ったところ、中に入っていたのは共産国スパイの機密フィルムで…。題材は地味ながらも意外にも面白い。そして、共産国スパイにも警察側にも属さないリチャード・ウィドマー>>続きを読む
ジュールス・ダッシンの映画は、『裸の街』同様、街が活き活きしている。表向きの主役は、レスリング興業で一発当てようとする山師、リチャード・ウィドマークだが、無差別に人を飲み込もうとする都会の得体の知れな>>続きを読む
完璧主義の映画監督が映画界を干される危機から、見世物小屋の女優・メアリーをフランス出身のレディに仕立て上げ…。いうなれば、『マイ・フェア・レディ』や『ファントム・スレッド』のような話だが、メアリー役の>>続きを読む
『悲しみは空の彼方に』(『エデンより彼方に』)のリメイク元。人種差別問題や女性の自立などを真っ向から取り上げている点では、1930年代の映画としては早い部類だろう。母の愛は偉大なり。
中盤までは牧歌的な内容だと思い、安心しきって観ていたが、カーステンの結婚式前夜からの不穏な展開にさすがと唸る。ヒロイン、ヘルガの聖人の如き愛情を前にしたら、どんな女性も平伏すほかはない。ラストシーンで>>続きを読む
そんなに期待しないで観たのだが、後半からどんどん面白くなった。ダグラス・サークのキャリア初期の作品だが、メロドラマの巨匠と呼ばれるだけの萌芽が既にある。毒殺騒動から法廷劇までの展開がこれでもかというほ>>続きを読む
正直、作品自体はやや退屈。ダン・デイリーとスキャットマン・クローザース、孤児の少年とのハーモニーは楽しかった。
「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」於シネマヴェーラ。
家族から蔑ろにされて孤独を感じていた中年男性が、かつての同僚、バーバラ・スタンウィックと会い、家から抜け出すことを夢見はじめ…。ダグラス・サークらしい傑作メロドラマ。形だけはハッピーエンドだったが、主>>続きを読む
寝たきりの修道士が聖人の夢を見て歩けるようになったことから巻き起こる騒動。奇跡に懐疑的な修道士、図らずも奇跡を仕立て上げた皮肉屋の医師、奇跡を信じ続ける脊髄損傷の少女。三者三様の葛藤の描き方が素晴らし>>続きを読む
好きなタイプのフィルム・ノワール。エドワード・G・ロビンソン×ジョーン・ベネット×フリッツ・ラングの黄金トリオに、クズ男の代名詞、ダン・デュリエが加わっているのだから、面白くないわけがない。ジョーン・>>続きを読む
酒を密造して儲かっても、潜り酒場ではいつも牛乳。好きな女性には一途。そんな単細胞キャグニーが意地らしい。狂騒の20年代史にのせて描かれる、ギャングの栄枯盛衰。
刑事=アラン・ドロンとギャング=リチャード・クレンナが実は固い友情で結ばれており、刑事と犯罪者の間の友情と葛藤を描いたものらしいが、残念ながらまったく読み解けず。執拗なまでに青く冷たい映像がよい。ミシ>>続きを読む
2024年の映画納め。凄惨なリンチ、射殺と同時にターゲット越しの水槽が粉々になるシーンなどはケレン味があり、日活ヤクザ映画を思い起こさせた。カンツォーネ風だったり、ラウンジ風の音楽もややチープで、よい>>続きを読む
ジャン=ピエール・メルヴィル監督ということで期待して観たのだが、思いのほか淡々としていたように思う。とはいえ、そんなことはどうでもいい。ブルーとグレーの映像、冷たい小雨の降るパリの街、アラン・ドロンの>>続きを読む
刑務所を脱獄し、ミサイル基地を占領した4人の脱獄囚と政府のやり取りを描いたサスペンス。米軍の協力を全面拒否され、ドイツで撮影したというのももっともな反戦映画。憂国の士にバート・ランカスター、大統領にチ>>続きを読む
イプセンの戯曲「社会の柱」の映画化。集中力不足のせいで、主人公の領事や妻、義理の娘らの相関関係が途中までよくわからなかったが、社会の柱たる領事の欺瞞を暴きながら、人間としての良心や尊厳の大事さを説いた>>続きを読む
最高のクリスマス映画。オープニングからして多幸感に満ちている。あしながおじさん的な役割のチャールズ・コバーンが単なるいけ好かない金持ちと思いきや、チャーミング過ぎて何度も爆笑。モグリ酒場で娘を助けたり>>続きを読む
カーペンター自身が手がける音楽や、チープ感漂う映像に、低予算ゆえの遣る瀬なさは感じるが、ディストピア的な世界観が堪らない。アーネスト・ボーグナイン、リー・ヴァン・クリーフら、好きな俳優がいっぱい。久々>>続きを読む