自分とは違う他者とどう共生を図っていくのか。さまざまな人種や宗教が共存を図るフランス映画らしいテーマだ。ミシェル・ウエルベックの『服従』が頭をよぎった。動物へと変異を遂げることは果たして退化なのか、進>>続きを読む
「命を賭してスピードに挑め」とドライバーを駆り立て、栄光が見えかけた矢先の悲劇。皮肉にも、ミッレミリアの大事故のシーンは、映画の中でレースのスリルを最も感じさせた。さながらペキンパーのアクションのよう>>続きを読む
日活のプログラムピクチャーにありそうなアイドル映画。ブリジット・バルドーの小悪魔的魅力は、カラッと明るく健康的な魅力だったのだと認識。『可愛いめんどりが歌った』の大空真弓、『痴人の愛』の安田道代のよう>>続きを読む
天衣無縫かつ放縦なブリジット・バルドーを愛でるための映画。映画自体はよくあるアイドル映画だが、しなやかな肢体を活かしたダンスシーン、踊り子衣装など、観どころ満載。砂糖がたっぷりとまぶされ、夢が詰まった>>続きを読む
悪役好きというのもあるが、ハビエル・バルデムの悪の魅力から目が離せなかった。底知れなさ、得体の知れなさ、微妙な胡散臭さ。ボンドを挑発する度にゾクゾクしてしまったほど。『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬>>続きを読む
石油まみれのシーンを観て、昔観た作品であることに気づく。復讐心に駆られたボンドが、諜報員として成長する過程を描いている点では素晴らしいのだが、その心理的葛藤が深く掘り下げられておらず、淡々とした描写に>>続きを読む
スマートさがなく、無骨で、いささか乱暴なジェームズ・ボンドが新鮮でよかった。月並みな感想だが、エヴァ・グリーンがお美しい。
洗脳、子産み女、輸血袋…。虐げられた者たちが自らの尊厳を回復するために共に闘う物語。約束の地を探し求めるのを止めて、元々いた砦に戻る合理性がよい。“wasteland”とセリフに出る度に、T.S.エリ>>続きを読む
観終わってから、「ああ、そういうことだったのか」と思うこと頻り。祖母、母、娘の時空を越えた邂逅。自分自身の朧げな記憶の底から、少女時代の瑞々しい感性を優しい手つきで掬い上げられたようにも感じた。
西部劇『リバティ・バランスを射った男』や『真昼の決闘』を家族で観るシーンが印象的。暴動のリーダー的存在とバディの父との対決シーンでは、『真昼の決闘』をもじる演出も。陽射しの眩しさ、暖かさが伝わるモノク>>続きを読む
ボーナスを取るか、サンドラの復職を取るかを投票で決めさせるという理不尽な会社。だが、資本主義社会に生きている限り、自分の身にもいつ起こるかもしれない。そんな想いで観た。サンドラから説得される同僚たちの>>続きを読む
ブラックユーモア強めのギャグ映画だったのか?ガラスや窓にお酒をぶち撒けて拭うシーン、グラスを割るシーン、『マイ・フェア・レディ』(「君住む街角」)のアル中バージョン替え歌を歌うシーンなどが印象的。「良>>続きを読む
シネマヴェーラ『妄執、異形の人々』特集で上映されていそうな作品。寺山修司や大島渚を観ているかのように難解。二つの頭を持つ女性、小人、双生児、異端宗派…。異形の人々だけでなく、異端の人々に対する温かな眼>>続きを読む
ダニエル・シュミットとは思えないシュールな政治風刺劇。まさかこれがダニエル・シュミットの遺作だったとは…。老人が大暴れしてクーデターを起こす展開、ブラックな味付けは、筒井康隆の『世界はゴ冗談』を思い起>>続きを読む
デンマーク統治下のアイスランドの地に教会を建てる司令を受けたデンマーク人の牧師が、想像を絶する厳しい自然と闘いながら、布教の旅を続ける受難篇。自然環境や言葉の壁にぶつかり、徐々に牧師は狂っていくのだが>>続きを読む
たかが雪崩、されど雪崩、とでもいいたくなる映画。他所から見ると大したことのない事件に見えても、当事者にとっては、これまでの信頼関係が瓦解するような大事件。仕事でもこれに近いようなことはたまにあるが、本>>続きを読む
終わりの見えない復讐。一向に終わりが見えず、ひたすら蛇の道を進むことしかできない恐ろしさ、虚しさ。終始、冷たい目をした柴咲コウが印象的だった。
『ヴァチカンのエクソシスト』というタイトルから昔を舞台にした作品だと思い込んでいたが、スクーターに乗るラッセル・クロウ、オープニングのロックによって、思い込みを鮮やかに裏切られる。ホラーが苦手な私でも>>続きを読む
聖地を浄化するために、売春婦ばかりを狙うシリアルキラー。売春婦を殺したことが英雄視される社会も恐ろしいが、殺人は正しかったと純粋な眼差しで主張する犯人の家族にも狂気を感じた。
スペインのガリシア地方に移住したフランス人夫婦が、閉鎖的な村で住民との対立を激化させていくーー。移民。異なる文化を持つ者同士がわかり合うことは難しい。その土地がゴーストタウンと化した村なら尚更だ。外国>>続きを読む
イザベル・ユペールだからこそ成し得たであろう、型破りな女性像に終始裏切られっぱなしだった。イザベル・ユペールは当時64歳とは思えぬ妖艶さ。素知らぬ顔で隣人を誘惑したり、友人夫婦の両方と不倫していたり…>>続きを読む
ストーリーはともかく、ジェシカ・チャスティンのファッションが洗練されていて、目が離せなかった。なんでも、サン・ローランやヴィクトリア・ベッカム、アレクサンダー・ウォンらが手がけた衣裳だった模様。特に、>>続きを読む
たとえ瀕死の重傷を負ったとしても、戦線にカムバックする。ニキ・ラウダの不撓不屈の精神、強固な意志には、とても勇気づけられた。不死鳥と呼ばれただけある。
身分違いの男女が出会うが、階級の壁が立ちはだかって…。結末はいうまいが、キャプラと対極にあるペシミスト、成瀬巳喜男なら、この題材をどう描くか、想いを馳せずにはいられなかった。結末に向かってのすれ違い展>>続きを読む
またしても何度も何度も夢世界へ。何よりも馬を愛する男ダン(ビング・クロスビー)が、愛馬ビル・ブロードウェイをレースに出場させるまでの苦難の道を描く。『花婿来たる』と同様、ビング・クロスビーがイージーモ>>続きを読む
『陽気な踊子』に引き続き、『たそがれの女』でも何度か夢世界に。報われない愛に20年もの歳月を賭した日陰の女と政治家の軌跡を描く。バーバラ・スタンウィックは不思議な女優だ。冷血悪女役で知られているが、よ>>続きを読む
寝不足のためか、何度か夢世界に。ベッシー・ラヴの脚元だけ捉えて、「男優募集」の貼り紙を剥がして終わるラストシーンが小粋。
「アメリカの夢 キャプラの夢 フランク・キャプラの映画」於シネマヴェーラ渋谷>>続きを読む
パリ在住の新聞記者が戦災孤児を養子にするため、ほったらかしにしていた婚約者と関係を修復し、結婚を目論むが…。新聞記者役のビング・クロスビーがあまりに自分勝手で強引過ぎるが、それ以外は楽しいミュージカル>>続きを読む
キャサリン・ヘプバーンが盤石の演技を見せる。スペンサー・トレイシーの愛人とかち合う場面では、当初は妻として気丈な振る舞いをしつつも、気付けに飲んだお酒で感情を爆発させてしまう。マグマのように感情を沸々>>続きを読む
母親は毒親、旦那はDV野郎、旦那の友人は妄想の世界で生きる屑男。周りもトーニャも皆浅薄で愚か。そんな底辺の世界からは簡単に抜け出せない。ナンシー・ケリガン襲撃事件は幼心に何となく覚えていたが、よくぞこ>>続きを読む
メジャーリーグの弱小チームのGMが統計学によりチームを改革し、記録的連勝を果たすまでの奮闘の様を描いている。「そんなにうまいことがあるか」と思う反面、実際の野球やサッカーは映画以上にドラマティックだか>>続きを読む
コリン・ファースとジェフリー・ラッシュの演技の掛け合いが素晴らしい。特に、ジェフリー・ラッシュはユーモアとウィットに富んだ懐の深い演技を見せてくれた。気品を感じさせる匙加減も絶妙。
警察の目が届かない無法地帯、ウインド・リバー居留地。厳しい自然にさらされる極寒の地では、娯楽も仕事もなく、若者が犯罪に手を染めるのは容易い。貧困と屈辱を強いられてきたネイティブ・アメリカンの現状を知る>>続きを読む
聖職者による性虐待事件が起こり続ける構造そのものにメスを当て、枢機卿を辞任にまで追い込んだのはよかったと思う。女性記者の祖母のように、信仰が篤すぎるあまりに、神父や教会を理想化する信徒の姿勢に寧ろ恐怖>>続きを読む
中二病感満載の映画。オープニングのアソシエーションの“Never My Love”で心を掴まれたが、都市伝説やサブカルチャーを駆使して街の陰謀を解明するというプロットにはびっくり。
ラブコメディだと勘違いしていたが、歴としたフィルム・ノワール。テクニカラーのギラギラとした色彩のなか、マリリン・モンローのブロンド、ショッキング・ピンクのドレスが映えること、映えること。ジョゼフ・コッ>>続きを読む