『燃ゆる女の肖像』と同様、フィメールゲイズ=女性の眼差しによって、女性の性的嗜好を描いた野心作。ニコール・キッドマンの作品は観ていないものが多いが、彼女自身の出演作(『アイズ ワイド シャット』など)>>続きを読む
『悲しみは空の彼方に』と並んで、トッド・ヘインズ『エデンより彼方に』のリメイク元として知られる作品。現代よりも偏見に満ちた格差社会における、未亡人と若い庭師との儘ならぬ愛。ソローの『ウォールデン 森の>>続きを読む
元ネタ『模倣の人生』を先に観ていたこともあって、どうしても同作との比較になってしまうが、個人的にはオリジナルの方が印象がよかった。一番の理由は、ラナ・ターナーの演じた主人公像が、オリジナル版のクローデ>>続きを読む
環境汚染を巡って大企業と闘う実在の弁護士を描いている。このようなテーマの映画は、邦画だと山本薩夫、新藤兼人、熊井啓、亀井文夫らが思い浮かぶが、『ダーク・ウォーターズ』は彼らの作品とは異なり、対象と適切>>続きを読む
1930年代のニューヨークのマフィアの三兄弟を描いた作品。長男にクリストファー・ウォーケン、次男にクリス・ペン、三男にヴィンセント・ギャロ、対立するマフィアの親玉にベニチオ・デル・トロ。キャストはやた>>続きを読む
思春期の移ろいやすい感情と抑えきれぬ反発の衝動。人生のなかのほんの刹那の痛々しさ、もどかしさ、やり場のなさ、ほろ苦さを瑞々しく描いている。人生の秋を迎えた自分は二度と味わうことのない思春期の儚さを羨ま>>続きを読む
面白かった!野心と妬みが渦巻く熾烈なパワーゲームというテーマを借り、次期ローマ教皇の候補者=枢機卿たちの人間模様、生きている人間社会の縮図が克明に描かれる。神に仕える聖職者が、エゴや弱さ、権力への執着>>続きを読む
古くはジョセフ・H・ルイス『拳銃魔』、ニコラス・レイ『夜の人々』にはじまり、タランティーノ『トゥルー・ロマンス』に至るボニー&クライドものの一作。本作が他の作品と異なるのは、シシー・スペイセク演じる少>>続きを読む
アレクサンダー・ペインの長編デビュー作。シンナー&アルコール中毒なのに無責任にも子供を身籠ったルースが、曲がりなりにも、人として生きる権利を主張する、オフビートな風刺コメディ。出産か、中絶か。ルースの>>続きを読む
春浅き夕暮れに観たのもあって、川面から吹く風の生温かさを感じられるようだった。宵闇に浮かぶ光、主人公二人の端正な横顔。ショット一つ一つが絵画のように決まっている。幼さの残るマルトの描き方は非常に官能的>>続きを読む
TSUTAYA西五反田店でレンタル。シャム双生児をテーマにした作品。ホラー要素は薄め。デ・パルマが敬愛するヒッチコックへのオマージュが随所に感じられるが、映画の世界に観る者を引き込む手腕はさすがと唸る>>続きを読む
TSUTAYA西五反田店でレンタル。よくある復讐譚なのだが、マイケル・ケインのファッションがとにかくカッコいい。襟先が尖ったシャツ、ネイビーのトレンチコート。冒頭のダブルブレスト・ジャケットの着こなし>>続きを読む
やたらと品揃えのよいTSUTAYA西五反田店でレンタル。原作はリチャード・ドハーティ「The Commissioner」でポケミスから以前発売されていたようだ。映画は殺人犯に拳銃を奪われた刑事マディガ>>続きを読む
原作はサミュエル・フラー。扇情的なゴシップ記事で部数を伸ばす新聞紙の編集長が、自らの過去を知る元妻を誤って殺してしまい…。その編集長に憧れていた記者が手柄を立てようと躍起になり、編集長の悪事が徐々に明>>続きを読む
大した予備知識もないまま鑑賞したが、マイノリティの孤独と疎外感を描きつつ、どんな逆境のなかでも自分らしく生き抜くことを痛切に訴えた、いまらしいテーマの映画だった。学園ものとしても面白い。シンシア・エリ>>続きを読む
19世紀に実在した詐欺師の物語。なんといっても、詐欺のスケールが大きい。アリゾナ準州を手に入れるため、身元不明の少女をスペイン貴族の末裔に仕立て上げ、土地台帳を改竄。この改竄が手が込んでいて、アンモニ>>続きを読む
朝鮮戦争が勃発して半年後に撮られた戦争映画。ハワイ出身の日系2世部隊「第442連隊」に初めて言及した作品でもあるという。韓国の戦災孤児をはじめ、黒人衛生兵、日系2世ら、人種を超えた連帯が描かれる。映画>>続きを読む
家出をしたリリアンの目を通して描かれる、アメリカの危険な現在地。Qアノンやネオナチ、アンティファなど、馴染みのないことも多かったが、政治的/人種的/宗教的/文化的に分断化が進み、イデオロギー的に偏向し>>続きを読む
サミュエル・フラーが脚本に携わったようだが、ノンクレジット。監督としてしか知らなかったオットー・プレミンジャーが在米ドイツ領事を憎々しく演じていて驚いた。警護に当たる警官がドイツ領事に対してタメ口で自>>続きを読む
エンディングの余韻がじんわりと残っている。女性も男性も、貴賤上下関係なく、己に誇りを持って生きている。すべての人へのリスペクトにあふれた映画だった。そして、これまで一生懸命生きてきたアノーラに「光明」>>続きを読む
破綻の一歩手前で生きるモーテル暮らしの母娘。お金が稼げれば倫理観なんて知ったことではない。貧困から抜け出したくても抜け出せない。そんな閉塞感が充溢している。立場は違えども、物価高のいま、将来に希望を持>>続きを読む
古きよきスクリューボール・コメディでお決まりの設定に則りつつ、現代的にアップデートさせた、教科書のようなラブコメ。グレン・パウエルとシドニー・スウィーニーは息がぴったり合っていて、ケーリー・グラントと>>続きを読む
フラー特集6本行脚の5本目。前半は登場人物の把握に追われていたが、キャラクター設定を理解できてから、俄然面白くなった。舞台は朝鮮戦争の前線。自身の命令で部下を死なせてしまってからというもの、責任を取る>>続きを読む
フラー特集6本行脚の4本目。サミュエル・フラーが原案に携わったという。第二次世界大戦真っ只中で撮られたというのもあって、ドイツ空軍の空襲を受けて地下鉄の駅構内で一夜を過ごす人々、戦争下のメディアを描い>>続きを読む
フラー特集6本行脚の3本目。元新聞記者のサミュエル・フラーの思い入れがたっぷりと詰まっていたであろう作品。かつてのアメリカの新聞産業の中心地だったパーク・ロウの紹介にはじまるオープニングから、新聞社設>>続きを読む
フラー特集6本行脚の2本目。オープニング、主人公の父親が殺される場面で、闇夜に浮かび上がるシルエットがクール。父の仇に復讐するために、仇敵や検事に取り入り、仇をジワジワと追い詰めていくが…。父親から仕>>続きを読む
今日から待ちに待ったサミュエル・フラー特集。6本行脚の1本目。サミュエル・フラーの監督デビュー作。西部劇でお馴染みのアウトロー、ジェシー・ジェームズを暗殺したことから、裏切り者と揶揄されるロバート・フ>>続きを読む
フォークはもちろん、ジャズやソウルでも、定義から外れたことをするミュージシャンは批判されがちだ。映画ではピート・シーガーは旧体制のように見えるが、ピート・シーガーとボブ・ディランの関係は旧体制と新体制>>続きを読む
小口投資家たちがヘッジファンドに立ち向かい、一矢報いる様には、株に関する知識がほとんどなくても胸が熱くなった。公聴会でローリング・キティが率直な気持ちを語る演説ではいつの間にか涙が…。ここでふと気づく>>続きを読む
アルベルト・カヴァルカンティ、ロバート・ヘイマー、ベイジル・ディアデン、チャールズ・クライトンの4人の監督の競作によるオムニバス・ホラー。それぞれの作品は独立しつつも、主人公の建築家の悪夢のなかに、そ>>続きを読む
歌を通して人々に夢と希望を与え続けたエルヴィス。だが、スターであり続けるために彼が抱えてきた苦悩の大きさは計り知れない。母親、女、大佐、薬。さまざまなものに依存して苦悩を紛らわそうとするが、音楽のもた>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
礼拝堂を備えた公共施設を設計するからには、あくまでそこを使う人々のためにつくる必要がある。私的理由ではなく公共性が求められる。架空の建築家・ラースローは公共施設としつつも、自身の心の闇をデザインに投影>>続きを読む
グレイシーの底知れなさはもちろんだが、それ以上に、エリザベスの利己的な面が不気味だ。エリザベスの介入によって、グレイシーとジョーとの間に亀裂が入っていく。グレイシーとジョーとの関係はある意味、パワハラ>>続きを読む
アメリカン・ドリームに敗れた父と息子たちが辿る過酷な現実と運命を描いた悲しき叙事詩。これは骨太!幸せの絶頂を描いた結婚式は『ディア・ハンター』を思わせる。そこからの悲劇の連続は釣瓶落としの如し。
監督が『ミナリ』のリー・アイザック・チョンで驚いたが、観終わって納得。ただのディザスター・ムービーに終わらず、登場人物の葛藤や挫折もよいバランスで描かれていて、非常に好感を持った。自然描写も『ミナリ』>>続きを読む