東京マクラさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

東京マクラ

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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.6

ジュリア・デュクルノー監督の作品は痛々しさが視覚ではなく自分の痛覚を刺激するような感覚に見ていると陥ります。
“長い棒”や“尖った破片”などを使ってこれから画面の中で嫌なことが起こるだろうということを
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.7

現代のアート系映画の極み。画面の中にあるもの全て、登場人物の服装や背景のインテリアだけでなく、ポストイットやスプーン、時計などの小物に至るまで監督の感性のもと細部まで計算され、彼が思い描く世界観通りに>>続きを読む

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

3.6

タランティーノ作品の最後で描かれる「こんな死に方は嫌だ」の大喜利が見たくて彼の映画を鑑賞している自分がいます。

ストーリーの序盤は登場人物がどんどん増えていくので、どういう展開になるんだろうというわ
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

4.1

自分を強く見せて、常に周りにファイティングポーズを取っている。けれど、そのイキリに隠れた足はぶるぶる震えている。それが分かる物語の途中から主人公に対する好感度が大きく変わりました。こんなにも弱々しくて>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.3

主人公は画家であり、肖像画を書く相手と恋に落ちるという、フランス映画らしいロマンチックなストーリーです。

絵画は決められた空間の中で描くものと描かないものを取捨選択する。この映画でも同じように二人の
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恋する惑星(1994年製作の映画)

4.0

甘ったるくてむせ返りそうなロマンスや、キザで背中が痒くなりそうな台詞。現実世界ならばアウトな駆け引きだったり、こんなに都合よくいく訳ない展開。胸焼けしない絶妙なラインを攻めてくる作品です。

リアリテ
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.6

2時間50分という長さのためずっと敬遠していましたが、最高でした。この映画はタランティーノ監督からの鎮魂歌だと私は思います。監督の作品の中では比較的大人しい演出になっているのでぶっ飛んだのが好きな方は>>続きを読む

ファニーゲーム(1997年製作の映画)

3.6

登場人物たちの会話の内容やテンポから感じる違和感。冒頭からこれは嫌な展開になるだろうという雰囲気が漂っており、序盤から鬱映画・胸くそ映画としてのポテンシャルが高かったです。

しかし、この映画はその要
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

4.3

樋口監督の映画は登場人物たちがその世界の中で生きている感じがしてとても好きです。酸いも甘いもという人生を丁寧に描きつつ、日常をダイジェスト的に切り取る演出もあり、当たり前なんですがこの瞬間、今しか生き>>続きを読む

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

5.0

自分は自身の価値観や考え方を大事にして生きていこうと思っていますが、この映画は「自分の価値観や考えに固執してしまうのって大丈夫?」と教えてくれた作品です。

この映画の主人公は確固たる信条があるのです
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母なる証明(2009年製作の映画)

3.6

いやーな映画です。もちろん褒めています。鑑賞後に気分が落ち込んだというよりは嫌な気分になったという表現が正しい気がします。見るなら絶対に前知識を入れない方が良いと思うので、今日は嫌な気分になりたいなと>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.4

何と言ってもアクションシーンが素晴らしかったです。銃撃戦にナイフアクション、格闘戦など多様に取り入れてくれているので、戦闘シーンに飽きが全くありませんでした。

また、早回しやスローなどの演出で誤魔化
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朝が来る(2020年製作の映画)

3.5

授かることができず特別養子縁組制度を用いて子どもを迎え入れた夫婦と、若くして授かったため養子の制度を利用することになってしまった少女のお話です。

前半後半で描かれる視点がわかれていたり、画面作りなど
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

3.8

タランティーノ監督の作品の中では脚本がしっかりしている印象です。なるほどと唸る演出や緊張感のあるシーンの連続で165分という長い時間を感じさせない作品になっています。

黒人奴隷であり本作の主人公であ
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

3.4

まず、タイトルの「こわれゆく」という表現が逸材です。「こわれた」でもダメで、「狂ってゆく」でもダメです。まさに壊れてゆく女性とその家族を描いた作品です。

シンプルかつ分かりやすいストーリー。だからこ
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.4

前半は思わずクッションで顔を覆いたくなる展開、後半は思わずクッションを振り回したくなる展開の映画です。
前半と後半で映画のジャンルが大きく変化するという新感覚ホラー映画でした。

R18指定なので、結
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彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

3.3

物語のテンポがよくて、盛り上がりも分かりやすい。漫画やアニメ、ライトノベル作品のような雰囲気があるので物凄く見やすい作品になっていると感じました。

テーマ性のある映画ですが、軸となっているのは高校生
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.4

60年代と現在のロンドンを舞台にし、ある事件の真実を追い求めるSFサスペンス作品。ホラー要素もかなり強く、予備知識なく予想外だったこともあり結構怖かったです。

エドガー・ライト監督の映画はテンポの良
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

3.4

センセーショナルな事件を追うジャーナリストの主人公を題材に、いきなり第三者から当事者になった人の心情の変化や考え方を緻密に描いた作品です。

ある物事がAかBか(善か悪か、真実か嘘か…)判断する時、人
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プリデスティネーション(2014年製作の映画)

3.6

CGを多用した、壮大なスケールで描くSF超大作よりも、今作のような手のひらサイズ感のある割とこじんまりとしたSF映画の方が好きです。

今作は「卵が先か、鶏が先か」という哲学的テーマをSF設定を駆使し
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.5

主演のマッツ・ミケルセンの大人な男の色気が爆発していた映画です。情けないダメ男シーンでも色っぽいのはズルすぎます。

繰り返す日々に蝕まれて自信を失ってしまった中年男性が、お酒の力を借りてハッピーにな
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.3

ジャケ写とタイトルの時点でエモい系の邦画だと察しました。案の定でした。映画自体も面白かったんですが、大好きな『ナイト・オン・ザ・プラネット』とクリープハイプが出ているのも個人的に大満足です。

今の相
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.5

いつも明るくて、周りを元気にするタイプの人が抱えている内側の部分。高校の時にクラスのお調子者だった友達も、もしかしたらこの映画の様に秘めた何かがあったのかもと思いながら鑑賞しました。

人物描写がわざ
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さがす(2022年製作の映画)

4.4

細かい人物描写、小道具の使い方、メタファーに伏線。それらをお手本のように巧みに作品の中に組み込んでおり、シンプルに完成度が高いと感じました。鑑賞後にもう一度見返して、細かい点に気付きニヤニヤできる作品>>続きを読む

音楽(2019年製作の映画)

3.3

趣味で音楽をしているんですが、初めて人と音を合わせた時のことを思い出しました。下手くそで聞くに堪えない音でしたが、彼らのように「おぉ」と皆で顔を見合わせたのを覚えています。

曲調は全く違うのですが、
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アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.1

ホラー要素やスプラッター要素を期待すると肩透かしを食うかもしれません。シリアルキラーの内面に着目し、その心情に触れる作品です。

不快なカメラワークや不気味な音楽の使い方、ナレーションなど見ていて不安
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アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

3.4

皆で応援するべきだという空気感に少し息苦しさを感じたことはありませんか?学校行事やオリンピックなどで自分は感じたことがあります。でも、いつの間にか素直に応援できるようになっていました。

大人になった
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犬王(2021年製作の映画)

3.6

圧倒的熱量で繰り広げられる狂乱。歴史ものではなく、ミュージカル映画としてどっぷり楽しめました!万人ではなく刺さる人に刺さる映画だと思いますが、間違いなく映画館で見るべき作品だと感じました。

ギターや
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ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)

3.4

最高のB級映画でした。主人公を演じるダニエル・ラドクリフの演技をハリーポッターシリーズ以外で初めて見ましたが、今までのイメージが覆る体当たりの演技で素晴らしかったです。

主人公が突然殺人ゲームに巻き
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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.5

ジム・ジャームッシュ監督が好きで、日本好きな主人公の物語という設定と日本刀を構えるジャケットに惹かれて、前から観てみたかった一本です。

自分の感想を一言で言い表すと変な映画だったなーです。サムライの
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愛の渦(2013年製作の映画)

3.2

この映画、ストーリーが進んでいけばいくほど登場人物たちの言動がどんどん動物的になっていきます。これはお互いに裸同士で文字通り包み隠さずオープンにして相手と向き合っているからなのか、「性」という本能的な>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.3

ジャケットからサブカル系映画の匂いがしていました。見る前から多分好きだろうなと思っていましたが、やっぱり凄く好きでした。

もうめちゃくちゃ彼等が羨ましかったです。あと、ひたすら下北沢に住みたくなりま
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猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

4.0

東京で夢を追いかける若い男女を描いたラブストーリーです。ジャケットも相まって、いい感じの青春恋愛映画っぽいですが、鑑賞後、気分がとても落ち込みました。平日の夜に見る映画ではなかったです。しかしもの凄く>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

3.4

自分の行動や発言、考え方が原因で拭いきれない後悔が残り、心に空白が生まれてしまった人々を描いた作品です。

内容が重たいだけでなく、登場人物のキャラクターが強烈であり、彼等が幾度となくぶつかり合うので
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オールド(2021年製作の映画)

3.3

「このビーチではとてつもなく早く老いていく」という設定の斬新さが売りの作品だと思います。この設定だけで、物語を作り上げる監督の手腕はさすがです。この面白い設定を思いついた時点で勝ちな気がします。

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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.4

今作はいわゆるリベンジ・復讐ものと呼ばれるジャンルの映画ですが、他の同ジャンル作品とは一線を画しています。鑑賞後に爽快感や痛快さを味わいたくて見ると肩透かしを食らってしまう可能性が高いです。主人公が「>>続きを読む