にへさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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紅の豚(1992年製作の映画)

3.8

前時代的なロマンチシズム。今や否定されて然るべき感覚だとしても、ここまで振り切ったものを見ると痺れてしまう。

スキャンダル(2019年製作の映画)

3.5

1つのドラマシリーズをまとめたようなテンポ感。
同じ保守系メディアの中においても異なる立場を、視線の探り合いで見せるエレベーターのカットも良かった。
「君はフェミニストか?」という言葉の暴力性よ。

クラッシュ 4K無修正版(1996年製作の映画)

4.0

イントロダクションの90年代感に興奮した。96年の映画だから当たり前なんだが。
交通事故が想起させるセックス。パックリと割れた女の太ももと車の裂け目。資本主義と車社会、『OKコンピューター』の一年前の
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イーダ(2013年製作の映画)

4.0

鼻につくほど無駄なカットが一つもない。
「COLD WAR」も凄かったが、既に完成されている。

長屋紳士録(1947年製作の映画)

4.0

小津の戦後一作目とのことだが、重苦しさはなく、笑えるシーンが多い。
その中で、新聞紙が舞うカットや孤児たちで終わるラストは、戦後の感覚を反映しているようで印象に残る。

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

3.9

ラストの車に乗り込むカットとかゴダールにしか見えない。
最小単位の社会を描くのがうますぎる。

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.2

「ここで終わらないでくれよ・・」と思っていたらやっぱり流れ出してしまったエンドロールに思わず笑う。
取ってつけたような物質主義批判ナレーションも、突然飛び出すアダムドライバーとビル・マーレイのメタ発言
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.9

「こうゆう人たち、いるよね」というレベルを遥かに超えて、痛みを伴ってそこに存在している2人は、個人的には最も拒絶したい「俗っぽさを嫌う俗物」(いわゆるサブカル)だが、痛切に響いてしまうのはある種の同族>>続きを読む

その手に触れるまで(2019年製作の映画)

3.8

テアトル梅田、エンドロールが流れ始めた瞬間に後ろの席から漏れた「え、終わり?」という声は、この映画の感想として確かに正しく、ダルデンヌ兄弟の新作を見た、という実感を得た瞬間だった。
少年の危うさを追う
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ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.7

相変わらずドランらしさ全開だが、この人のMV的演出、苦手だったのに完全に耐性が出来ている、というか寧ろ期待して待ってしまっている自分がいて驚いた。

それから(1985年製作の映画)

4.0

余計な説明はせず、空白で語りかける。
エドワード・ヤンのような作家と共鳴性を感じる鋭さ、カメラワーク。アジアの同時代性を感じる空気感が大きいのだろうか、抗えない魅力がある。

吉原炎上(1987年製作の映画)

3.3

ところどころ色彩でみせるカットや、女優たちの狂う演技(中には笑ってしまうものもある)は悪くないが、どうにも詰め込みすぎでかったるさが否めない。

ディザスター・アーティスト(2017年製作の映画)

2.9

カルト映画と呼ばれるものは非常に幅広く、「カルト映画好き」を自称する人にはどうも距離を感じてしまう。偶然の産物としてそう呼ばれるものが出来てしまうのは良いとして、基本的には映画愛を感じるものが好きなの>>続きを読む

ラッキー(2017年製作の映画)

3.5

日常や日々のルーティンが突然うまくいかなくなるとき、老いを実感し「死」を意識する。いつか誰にでも訪れるであろう瞬間だが、「死」=「無」であると言い切る老人の、自問自答の末に出す答えに、そしてハリー・デ>>続きを読む

ANTIPORNO アンチポルノ(2016年製作の映画)

3.5

ここ数年の作品は追いかけるのを辞めてしまっていた園子温だったが、ここまで「らしさ」に振り切ったものを作れてしまうのだから分からない。他の近年作も見てみようかな。

黄金(1948年製作の映画)

3.8

全く破綻のないストーリーと、明瞭なメッセージ。分かりやすい勧善懲悪は好きではないが、役者の魅力を引き出す心理劇が素晴らしいので引き込まれる。
突き抜けるようなラストが素晴らしい。

花とアリス殺人事件(2015年製作の映画)

3.3

女子中学生にとっての事件も、あくまで日常として切り取って見せるが、その切り取り方が秀逸。
岩井俊二映画の個人的に苦手なところが、アニメーション作品ではだいぶ緩和されている。

ロリータ(1962年製作の映画)

3.2

オジサンが少女に恋をして狂っていく話。原作はロリータコンプレックスの語源になったらしいが、主人公のロリータは大人にも子供にも見えるので、際立ってくるのは偏愛のおそろしさや醜さ。
退屈ではないが、今まで
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ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.4

愛欲や嫉妬が、めまぐるしく動く人々を捉えるショットの中に常に点在している構図のまさに映画的な幸福に、そして狩りのシーンに象徴される冷たさと、シニカルな視点に戰慄する。

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.2

ひたすら煽られていた「全編ワンカット」はフェイクだったが、それでもカメラの裏側での気の遠くなるような努力や撮影技術が透けて見える。
そもそも「リアルな戦争映画」なんかでは全くないのだが、あるシーンを境
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マイマイ新子と千年の魔法(2009年製作の映画)

3.5

「子どもの空想」というカモフラージュに紛れた狂気。ラストに流れるカーペンターズもイカれてる。

マネーボール(2011年製作の映画)

3.3

冒頭、「野球の奥の深さには常に驚かされる」と。間違いなく同意するが、戦術の醍醐味がメインテーマではなかった。
プレーオフで勝てない姿が西武ライオンズと重なって悲しくなってしまった。

都会のアリス(1973年製作の映画)

4.0

ヴェンダースの映画はとても優しい。クールなカットや、失意の中にそれが感じられるから好きだ。
ジュークボックスの前虚ろな目で佇む、自転車で追いかけてくる、それを遠い目で見つめる、子供。さすがに印象的なカ
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じゃりン子チエ(1981年製作の映画)

3.4

西成のドヤ街。博打とケンカに明け暮れる父親、ヤクザ、浮浪者たちのどうしようもなさからは、アニメーションの魅力に満ちているこの映画において、突拍子も無い飛躍(それもまた魅力だが)よりも、ただ「そこ」にあ>>続きを読む

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)

3.2

ガス・ヴァン・サントの映画を観ること自体、久しぶり。演者の表情だけでみせる画の魅力がある。