白眉ちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

白眉ちゃん

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しあわせな孤独(2002年製作の映画)

4.0

「心と身体の分離、そのざらついた内側の感触」

 セシリの婚約者ヨアヒムが交通事故により、首から下の四肢麻痺に陥った。失意に暮れる彼女を慮り、気丈に振る舞って見せるヨアヒム。明け透けない下ネタが否が応
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.5

‪ 『ほら、また列車の音が聞こえてくる』 

 人生は時間という一本の線路の上にある。縦の構図が敷かれた画面上で、男に向かってくる列車や逃れようにも逃れ切れない容疑者の顛末などが映し出される。それは男
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黄金(1948年製作の映画)

4.0

出稼ぎ米国人がメキシコの路頭を彷徨う。搾取や迫害への怒りと郷愁の念を抱えて一獲千金の黄金探し。極限下、黄金の輝きが人間を狂わせていく…。文明社会と村社会。帰るべき場所を求める男達の欲望を山の砂塵が呑み>>続きを読む

アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

4.5

ふたつの制約で得た普遍性。

前半はメアリーとの出会いと恋愛成就をタイムトラベルの要素を絡め、コミカルに描いている。主に想い人からの愛を得ることが主人公の行動原理になる。
後半からはふたつの制約を活用
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ラブ・アクチュアリー(2003年製作の映画)

3.0

内に秘めたる愛を表現できない人々の群像劇。

正直なところ、ベタなロマコメに愛のなんたるかの哲学や含蓄はなく、群像劇としての相関性が導くテーマも深みはない。
ただ、愛を表に出せない人々の障壁のバリエー
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ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

3.5

失恋からの立ち直り。相手が自分を嫌う(恨む)理由は主観的に判断し時に都合良く解釈。時系列を入れ替え感情整理。フラれた理由を暗に考えるハーレイの前に、自立の女(刑事)、抗議の女(歌姫)、復讐の女(暗殺者>>続きを読む

サンセット(2018年製作の映画)

4.0

栄華を誇るブタペスト。絢爛たる時代の宵闇。鍔の大きな帽子が女の美貌に影を落としていく…。その僅かばかりの暗闇から見据える先に、幻影と代替した向後の双眸が見つめ返している。

傑作『サウルの息子』(15
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ガルヴェストン(2018年製作の映画)

3.5

「シュレイダー的な男のヒロイズムへの痛烈なアンチテーゼ」

傷心と死を抱える男と救われた少女の逃避行。『タクシードライバー』(76)の要素をなぞりながら、独善的な男の正義の絶頂には至らせてもらえない。
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宝島(2018年製作の映画)

4.0

楽園への不法入国者。管理者の手の淵で、恋に冒険にと若い人生が火照り瞬く。対照的に大人達の憂いを帯びた静謐な独白。このドキュメントから宝島と現実の社会構造が交錯する。観測者はバカンスを映しながら同時にそ>>続きを読む

ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

3.5

家族というコミュニティで求心力を失われた擬似親父。
娘達はハウスを飛び出し、息子は以前ほど従順でもない。
末娘の相手は非暴力主義のタマなし(セックスなし)
相容れない社会風潮、時代に淘汰される世代。
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未来を乗り換えた男(2018年製作の映画)

4.0

劇場ぶりに再見。
劇場で観た際、ゲオルクの素性や彼を追う体制側の存在など物語の前提から不明瞭なことが多く、序盤から困惑したのを覚えている。身分のなりすまし(乗り換え)からヒッチコック的なサスペンスを予
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希望の灯り(2018年製作の映画)

4.0

ちなみに昨日でベルリンの壁崩壊から30年。という訳で劇場ぶりに再見。

『ドイツの東西再統一から約30年。今なお耐え続ける夜の人々を照らす為の朝陽はいつ差すのだろうか』

東西再統一後、企業の民営化の
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.5

この映画の中で、意識的に描かれていないことがいくつかある。

まず、ストーリーの前提にあたるケイラが冴えない学校生活を送っていることを明示する上で、ありがちなスクールカースに紐付けしてキャラクターを語
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ジョーカー(2019年製作の映画)

3.5

この容易く共感できてしまう悪のカリスマを如何すべきか。
私達が想像するジョーカーとは残忍にして狡猾、恐怖そのものでありながら畏敬の念を抱いてしまう矛盾を体現し、不敵な笑みを浮かべながら私達を混沌へと突
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恋の秋(1998年製作の映画)

3.5

自分に好意を寄せる男を親友とくっつける。幸せそうな親友を見て、真に喜びつつも細やかな冒険の終わりを感じる女の眼差し。

複雑な女心を巧みに描いているのだろうけど、全然胸のすく話ではないと感じた。
紳士
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ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.0

‪相変わらずのスタント映画だ。‬
アクションの‪物量をあげても感情や心理を排し、主観的にならないアクションには飽きがきてしまう。
しかし、その精巧な殺戮と愚直なキアヌの姿に利害を超えた忠誠心や敬意が集
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夏物語(1996年製作の映画)

5.0

「偶然が習慣になる。しゃれた言い回しね」
彼女はそう言って微笑んだ。
ロマンスはそうして作られる。

彼女ことマルゴと浜辺で再会したのは偶然のことだった。赤い水着が印象的な笑顔のチャーミングな女性だ。
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ロリータ(1962年製作の映画)

3.5

己が性的嗜好の為に少女を抑圧する男とその想いの通りにならずに通俗的な人生を手に入れる少女。

住宅において、オープンかつソーシャルである一階層とそれぞれの秘密や過去を抱えたパーソナルな二階層。
その間
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アス(2019年製作の映画)

3.5

常に私達の中の無自覚な人格にフォーカスするJ.ピールの最新作『アス』面白かった!
ホラー、パニック、不条理、シニカルなコメディの要素を強かにサンプリングしたコンセプチュアルなネオモダン・ホラー。
気鋭
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