Lughさんの映画レビュー・感想・評価

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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.3

映画は小さい頃からよく観てきたと自負しているが、スパイ映画にはあまり興味がなく敬遠していたものの、ダニエル版の「カジノ・ロワイヤル」でハマって、過去のシリーズも遡って観たし、「ミッション:インポッシブ>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.2

言葉が纏まらない

それほど思慮を巡らせる映画だ


血縁や社会、体裁、期待、義務、しがらみ…
そういった“繋がり“という呪縛から解放されて、想いやアイデンティティ、エゴがもっと輝いて翔ける世界がいつ
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.6

全てのオトナの通過儀礼であったティーンエイジ・アイロニーで生じる縺れを25年かけて解く作業を続けたエヴァシリーズ。
解いていくうちにまた縺れたりもしながら、終に一本の直線の糸を成型し、縺れていて気づか
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ソング・トゥ・ソング(2017年製作の映画)

2.8

画、だけは美しい。

アドリブ多用したためか、凝った編集のせいか、時系列も心情視点も散らばり続けるので芯を捉えにくい。
意図がボヤけて、観終わったら全てが解けてしまった。

サイレント・トーキョー(2020年製作の映画)

3.1

シン・ゴジラ以降、顕著に政府や政治家への非難を盛り込んだ作品が増えた。
この作品もその一つ。

コロナが齎した“社会の野焼き”が露わにした、長きにわたる日本社会・日本経済の構造的失陥を描いた作品を観て
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ポネット(1996年製作の映画)

4.0

あの年代の子供に正確な演技を求める事は難しい。
演技という概念もそもそも持ち合わせてはないだろう。
それでも心を動かされるのは、彼女たちの想像力の純粋さにとてつもない力があるからではないかと思う。
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.9

『メメント』のノーランが帰ってきた感じ。

難解という感想も散見されるが、ラストの伏線回収できっちり納得できる。
逆行の理論と装置で掻き回されるが、ストーリーは『メメント』のほうが難解。
時間のギミッ
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僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46(2020年製作の映画)

4.1

おもしろい。

熱狂的なファンからすれば、この感想は不謹慎かもしれない。
けれど、この社会の縮図とも言える、この集団が持つ問題を正直に(全てではないだろうが)見せたと感じた。

強烈な個性は素晴らしい
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劇場(2020年製作の映画)

3.8

演劇に限らず、音楽や文芸、創作・アート全てにおいて、現実との乖離が生じて(むしろその乖離こそが価値を生むことも多いのだが)、創作者側は時に“夢現”となり、実社会とそぐわない状況に陥ることもある。

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酔うと化け物になる父がつらい(2019年製作の映画)

4.1

私はやはり、片桐健滋という監督が好きだ。

映画作品2作目にして“片桐ファミリー”とも言えるキャストたちも『ルームロンダリング』で魅せたのとは全く異なる顔でスクリーンに存在していたが、映画全体として作
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スケアリーストーリーズ 怖い本(2019年製作の映画)

3.8

『グーニーズ』『スタンド・バイ・ミー』『IT』などの伝統的系譜を継ぐスタイルに、過去作へのオマージュも込めて。

伸びる影は『呪怨』シリーズ、主題歌は『ダーク・シャドウ』でクロエ・グレース・モレッツが
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

まず率直に、まさか満席に近い観客がいたことに驚いてしまった。

前作のトラウマホラー『へレディタリー/継承』で魅せた、ホラーの新しい地平線(コレは『霊的ボリシェヴィキ』と同様の感覚)が、映画の未来や期
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.5

100余年前、実際にあった戦争において実際に存在した役割を担った人間がいた。
それが監督の御祖父であったことで、リアリティの濃密さは相当なものだと思う。
ロケセットや美術はもちろん、際立ったのは演出で
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グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇(2019年製作の映画)

3.8

読売演劇大賞で最優秀作品賞、最優秀主演女優賞(小池栄子)を受賞した、ケラさんの舞台。
昭和三部作と同様に戦後日本の混乱期を背景に、きっとこういうことたくさんあったんだろうな、という“嘘から出た実“なス
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ロニートとエスティ 彼女たちの選択(2017年製作の映画)

3.8

敬虔であるとはどういうことなのだろう?

「うやまい、つつしむこと。」



それが軸にならないと、生きていけない人もいる。
それが足枷になって、窒息する人もいる。

信仰とはそもそも、自由意志によっ
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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

4.1

これほどに英語という言葉の強さというか激しさを感じる作品はなかった。
冒頭の一節にもある通り、武器なのだな、そう感じた。


戦争では火器や人身が武器となったが、チャーチルの武器は言葉だった。
彼にと
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犬鳴村(2020年製作の映画)

3.5

かつての衝撃はない。

Jホラーが超えられない壁を垣間見た気がする。
「霊的ボリシェヴィキ」が新しさを見せてくれたが、本作はそういう感覚がない。
映写機(プロジェクター)による表現は良かったと思う。し
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アントラム 史上最も呪われた映画(2018年製作の映画)

3.7

点数低いのは理解できる。

文化圏の問題が大きい。
地獄の階層やアスタロトがどういう悪魔なのか、グリモワールに精通していないと理解できないことが多い。


ただ何にせよ、信仰や思い込みのような心理的呪
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.2

是枝作品『万引き家族』に続いたパルムドール作品である今作は、またもアジアの格差社会が舞台。

カンヌが、世界が、格差問題を由々しく捉えていることの表れでもある。
『ジョーカー』もまた然り、である。
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ラストレター(2020年製作の映画)

4.1

確かに岩井俊二総集編といえるエッセンスに溢れた作品。

篠田イズムの継承者、神戸千木さんのカメラも素晴らしい。
岩井俊二というリアルなファンタジーの作り手に必要不可欠なカメラワークを真に理解しているよ
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ひとよ(2019年製作の映画)

4.2

日本のフィルムノワールの巨匠となった白石和彌監督。

白石監督が描いた歪な家族は、それぞれがその歪さとそれぞれの対峙の仕方で付き合ってきた。
葛藤、逃避、隠遁。
どうやっても過去の事物という亡霊は、遠
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グレタ GRETA(2018年製作の映画)

3.6

まあ、ストーカー犯罪ものは昨今、すでに飽和状態ではあるから、目新しさやセンセーショナルな部分は全くない。

しかし、ユペール姐さんに帯びる不穏さや狂気は今でもなお澄みきっている。
女優としての強さは未
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天才たちの頭の中~世界を面白くする107のヒント~(2019年製作の映画)

3.8

天才。
天から与えられた才能。

そうでもないかもしれない。
環境、境遇を起因に発せられたパワー。
それを認識して、強く意識した者だけがその才をアウトプットできるのかもしれない。
それでも天から与えら
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