LudovicoMedさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.5

《画面の右から左へと運動を送り出す、最も原初的な動きの快楽 原始的な政治ドラマの恐怖》

牛を引いて川を渡る者、籠を持ち上げ川を渡る者、遊牧民における原風景の漂流と移動の過酷さが同居した圧倒的ショット
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

《予知夢が仇となった2時間半の壮大な予告編》

ドゥニヴィルヌーヴがデューンを再映像化するとニュースを聞いた時、まず彼の思い描くコンセプトアートがどの物語を参照したか、ということだ。一口にデューンとい
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俺たちに明日はない(1967年製作の映画)

4.6

《ボニーのリボルバーはクライドの男根のメタファー説》

『ラスベガスをやっつけろ』『リバーオブグラス』といったポストアメリカンニューシネマが近頃自分の中で熱く、思えば90年代は『トゥルーロマンス』『テ
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.8

《そして父になる男と、独身貴族をエンジョイする男の波長を解放させる極上の森林浴》

ケリーライカートは荒ぶる初期衝動を『リバーオブグラス』で発揮し、脅威の長編デビューを果たしたが、どうやら彼女にとって
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.7

《ヌーヴェルバーグからアメリカンニューシネマ、そしてジムジャームッシュをアンニュイに詰め込んだケリーライカートの初期衝動》

ゴダールは『勝手にしやがれ』で街と体制から抜け出したいも、中々離れられない
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アドレナリン(2006年製作の映画)

3.6

《テストステロンガンガンステイサムの一人相撲》

たまにはバカなステイサム映画で息抜きしたいそこのキミ、もってこいのアドレナリンがありますよ。

男は目覚める。得体の知れない徒労感と興奮混じりのヘトヘ
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フラッド(1998年製作の映画)

2.6

《ふらっと観る分には良かったけど》

90年代は敵味方、どいつもこいつも好戦的な大味バカ映画が大量生産されました。
どれも似たり寄ったりな英雄がヒロインと窮地を乗り越える予定調和ばかりだが、子供の冒険
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プリズナーズ・オブ・ゴーストランド(2021年製作の映画)

1.8

《ニコラス刑事 vs 園子温 Z級シネマバトル》

日本映画界のアングラカルト監督園子温がアメリカ配給の作品を撮った。年々切れ味が悪くなり『冷たい熱帯魚』の園子温はどこへ行ったやらなこの頃、ニコラス刑
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死霊館 エンフィールド事件(2016年製作の映画)

4.3

《ジェームズワンってこんなにジャンプスケアの達人だったの?》

これまでノーマークだった死霊館ユニバースは1作目が録音機とビデオカメラで心霊検証実験する様をフェイクドキュメンタリーかぶれに魅せる技巧一
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死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021年製作の映画)

3.8

《邦題のせいなら、損するぞ》

死霊館ユニバースは『死霊館』とアナベルのどれかを観た程度で、複雑怪奇すぎる時系列も迷子な状態なので、本作は端から眼中になかった。邦題もやる気出さないくらいの消費作品にま
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

2.0

《偉大なるマンネリズムの脱却を目指し続けたクレイグボンドの果てに》

無事『ノータイムトゥダイ』が公開されました。ダニエルクレイグのボンド燃え尽き症候群による引退を示唆したり、ダニーボイルの監督降板劇
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ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償(2020年製作の映画)

3.6

Public Enemy No.1(大衆の凶悪犯)として混沌から掲げ革命を訴えかけた黒人界のメサイア

2021年のアカデミー賞で助演男優賞にダブルノミネートし、見事ブラックパンサー党の指導者フレッド
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ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)

4.4

《映画史最強の未完映画参考資料はここにしかない》

まずこのホドロフスキーというジジイに関して、もはや一昔前のアングラ巨匠と忘れられそうな昨今だが、一言で言えば『カルト映画』という言葉の産みの親は何を
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レミニセンス(2021年製作の映画)

1.6

このレビューはネタバレを含みます

それこそ宮崎吾朗が長編デビューでゲドをやって世紀の大駄作となった例みたいに、身内のブランド頼りで華々しいブロックバスターデビューすると大怪我します。ノーランの弟夫妻共同作業で創り上げた本作は。

《フ
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アフターショック(2012年製作の映画)

4.1

《特にファイナルデスティネーションファン必見!こんな低予算から理想的なディザスター発掘》

レンタルショップですみっコぐらししてそうな、如何にもプログラムピクチャー系暇つぶしに見えましたが、コレが無性
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.0

《コントじかけのアンニュイ仕事人》

殺し屋がカタギの生活に悪戦苦闘するゴキゲンなアクション映画なら『ザファブル』がポピュラーだが、本作を観てしまったら断然コチラを推したくなった。

『ザファブル』は
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

1.4

このレビューはネタバレを含みます

《私たちのセシルBザシネマウォーズ‼︎》

かつて『桐島、部活やめるってよ』で世界のヒエラルキー構造を学園に戯画化させ、映画ファンを象徴させるような映画部神木くんはゾンビ映画で世界にアンチエスタブリッ
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

3.4

『HERO/英雄』(チャンイーモウ映画)になろうとした男が仕掛けるMCU渾身の珍作。

謎のベールに包まれたフェーズ4が逆鱗を垣間見せました。東洋人メインな世界観が様々な物議の的となる傍らカンフーとの
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

《イレイザーヘッドってどちらかと言うと女性が抱く悩みだよね》

父親になる心の準備が出来てない男の瞳に映る世界を病理な悪夢色で染めた『イレイザーヘッド』な苦悩が、妊娠が発覚した17歳の少女にのしかかる
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ハロウィン(2018年製作の映画)

3.7

クリシェに忠実なジェイソン、クリシェ破りなブギーマン。

ジョンカーペンターが創り上げたマスク被りの殺人鬼映画のパイオニアが今度はジェイソンブラムの手によってリブートされました。
リブートといっても本
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

4.1

《ソフトなボラット現る》

『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』という映画でイギリス人のコメディアン、サシャバロンコーエンが架空のカザフスタンテレビレポーターに道化し、アメリ
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オールド(2021年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

《2時間で一生は描けないが、一生を見たように思わせるビーチを思いついた》

待望のシャマラン新作が封切られました。
シャマラン映画鑑賞となると不思議と腕まくりしちゃう魅力があるが、同じ気持ちの映画ファ
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マックィーンの絶対の危機(ピンチ)(1958年製作の映画)

3.0

のちに『ブロブ宇宙からの不明物体』としてリメイクされるマックィーンZ級映画

オープニングのクセの強い主題歌に惹かれるも、ファーストカットの漆黒の黒を夜に見立てたバックの会話シーンに呆然とした。
トン
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アリス・スウィート・アリス(1977年製作の映画)

3.6

《鬼畜の国のアリス》

外国のどっかのサイトでホラー映画の怖いマスクランキング第8位の座を射抜き、観てみたかったカルトなスラッシャームービーです。

70年代の知る人ぞ知るスラッシャーらしいのですが、
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

2.4

《昭和から平成、平成から令和を超えても孤狼は牙を剥く》

それこそ『孤狼の血』以来全く邦画界に牙を剥かなくなった白石和彌監督が久々にギラついた作品を制作しました。
『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』な園子
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レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

1.6

《ワイド画面で紡がれるホラーは味わい深かったが》

ヘレディタリー亜流なホラーだ、とかと昨年アメリカで話題だった本作。てっきりすでにDVDリリース済みだと思っていたら、夏のミニシアターがゴリ押ししてま
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

《ジェームズガン版ムショ上がり決死隊はグロスプロイテーション炸裂だ》

夏のブロックバスターがドンドン続いています。中でも本作はロッテントマトで絶賛御礼、前評判は完璧なお待ちかね新生スーサイドスクワッ
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蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

4.0

《笑いの間、暴力の間》

みなさんは黒沢清の映画だと何が好きですか?
Jホラー黎明期に突如現れた『CURE』から近年はヨーロッパ系映画祭で高い評価を得るキッチュなアート映画まで非常にファン層が多彩な監
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ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)

2.0

《レンタルDVDリリース時に人気出るタイプのホラー》

2016年、ナメてた相手がモノクリシェの逆転の発想から生まれた傑作ホラー『ドントブリーズ』が13日の金曜日に日本の映画館に帰ってきた。
前作はそ
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.0

《オレはドミニカ生まれニューヨーク育ち、ハイツのヤツは大体友達》

来年のアカデミー賞のエンタメ枠で活躍しそうな香りを嗅ぎつけ映画館に吸い寄せられました。久々に変化球ではない正統派ミュージカルの新作と
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マンディンゴ デジタルリマスター版(1975年製作の映画)

4.7

「えっ、マンディンゴって公の場での上映が許されてるの?」

アメリカの白人至上主義なお上達が必死で美化しようとした黒人奴隷制度は、無かったことにしてほしい案件として長らく隠蔽の対象であった。噂によると
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

4.0

《例えば、地獄の黙示録の撮影現場はトラブルだらけで泥沼化していった》

ファッションブランド、サンローランのアートプロジェクトがギャスパーノエに声をかけた。ギャスパーノエはこのプロジェクトで『SAIN
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

《巨大なSNS箱庭のユートピアとディストピア》

公開されるや否や、毎度賛否が激しく分かれ話題性を掻っ払う細田守映画だが、今回は予告編から漂う『サマーウォーズ』路線、公開前から劇中で歌われるベルの曲が
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.5

《目まぐるしい主婦のバカンス的女子会な癒しがここに》

毎回、面白さを理解できず100%楽しめてないような気がして悔しくなるホンサンス監督の新作を観てきました。うーん、これまたどう評価してよいものかな
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.0

《アベンジャーズ出身のDAU.ナターシャは贖罪と赦免を力に変え旧ソ連体制(女性搾取)に復讐する》

フェイズ4がついに幕を開けました。サノスとの死闘から怒涛の葬式、いや同窓会を見せたフェイズ3から打っ
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ライトハウス(2019年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

《老ぼれVS若造の仁義なき怒号コント》

宗教狂い一家のサイレント魔女リティ『ウィッチ』のロバートエガースの新作が2019年のカンヌ映画祭で披露された。何やらヤバいモノクロ映像との『ライトハウス』はア
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