Segaworldさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

自転車泥棒(1948年製作の映画)

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フレーミングなどが基本に忠実すぎるのに全然ダサくならないというか、基本の凄みがあって街を駆け回る様、追い込まれてゆく表情が緻密に映る。不条理によって導かれた悲しき事態というノワールとしても真面目に展開>>続きを読む

愛・アマチュア(1994年製作の映画)

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TIFFの交流ラウンジでイザベル・ユペールが映画を信頼することについて、俳優のイノセンスという観点から「amateur(アマチュア)という言葉には、aimer(愛する)という言葉が入っています。…アマ>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

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かつて暗闇に逃げ場を、スクリーンの光に救いを求めたことから映画に招かれた人々が世界には多くいて、本作は鑑賞者のその初期衝動を駆り立てる映画と言えるのではないだろうか。劇場に持ち込んだ人生に対する諦念や>>続きを読む

アンダーカヴァー(2007年製作の映画)

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家族愛前提なのは呑み込みにくさがあるものの、最後まで揺らぐことなくとても良い。そして視界の遮り方が巧みすぎる。雨のカーチェイス、藪中に煙が立ち込める銃撃戦の緊迫感と、徹底的に追い込まれることにハマった>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

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前半は薮を駆ける映像程度で、文学に食われかかっていたが、次第に面白くなる。
バイト先で社員Aに、(異動した)社員BさんからLINEが来ました~と話をすれば、それを聞いた社員Aは別のバイトに、Bさんが病
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

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絢爛豪華な写真集をめくるような。それなら別に写真集で良くて、「去年マリエンバートで」というショット集があれば購入しますというのが率直な感想。逢瀬・再会という決定的な瞬間が、曖昧になることで永久になる。>>続きを読む

ホームワーク(1989年製作の映画)

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キアロスタミの人間性・探究心を信頼して本作を信憑性のあるものとすれば、それは教育がいかに人間を作っているのかを突きつける恐ろしい映像である。企画の時点でどう転んでも成功しそうだが、登校や朝礼(?)のシ>>続きを読む

憂鬱な楽園(1996年製作の映画)

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奥に手前にそれぞれの生活。主眼となり移動することもあれば、バイクで移動する彼らの運動に風を感じることも。音楽とネオンは踊らせるし、とても良い。だが全然好きではない。このレビューに至るまで2度、途中で鑑>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

5.0

何者にもなれない男女の退屈な日々からの逃避行。個人的には、ハートリー再来の衝撃を受けた、問答無用の傑作!でたらめに音楽が流れるし、光の捉え方も今程巧みではないけど、全部愛おしさ。小市民に宇宙が詰まって>>続きを読む

ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

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逃げ隠れしない現代ノワール。環境保全という善の目的が、社会悪になってしまう展開が現代的で面白く、光と影を捉えるのが上手い人はサスペンス向いてるなと思った。ライヒャルトは説明的なモンタージュがないのが好>>続きを読む

ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016年製作の映画)

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構図は相変わらず、場面展開が多い中で一貫して静けさを保てるのもすごい。いい意味でぼーっと観てられるが、流石に乗馬シーンはにやけがおさえられなかった。

ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)

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ショット良し、音楽良し、繊細で大胆なアニメーションと濃密なドラマでとにかくかわいい。暴力や危険をやっても全部かわいいに昇華する。大好き!

アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)

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美しい映像、かっこいい映像を撮りたいならおそらくあんな演出をしないし、幻へ誘うならチープでむしろ目が覚めてしまう。だが、それが魅力になってしまうのだ。101歳のオリヴェイラはもう表面的な映像には興味な>>続きを読む

長江 愛の詩(2016年製作の映画)

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間隙の魔力。男女が見つめ合ったカットから裸体の抱擁へジャンプ、その瞬間この映画を観なくてはいけないという力が働く。
また随所に詠まれる詩の奥ゆかしさを堪能できるのも、他にない味わいで、スクリーンの前で
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緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

5.0

原作は『牝犬』なのだが、多ジャンルの面白さが詰め込まれ、多面的に人間の真理に迫る最高のプロット。ネオンと影と煙、美しいキス顔に、レコードと声の反復、視覚、聴覚も大満足させる演出が完璧!

都会のアリス(1973年製作の映画)

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素晴ショットが印象的だけど、その連続性におこる劇的な瞬間はあまりない。ツーショットを見て微笑むアリスは例外で、懐郷の念を抱いた。休止符放浪記。

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

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ファッション誌とプロフェッショナルを同時に見たかのような充実度。勝負の世界の残酷さを経験しているから、オマージュでファンを喜ばせたり、結末を丸く収めすぎだけど、エンタメとしてはこうでないとね。

エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)

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ソクーロフはタイプだと思っていたから悔しい。手法とキャスト数の力量は確かに凄いけれど、ロケーション勝ちな気がして。一人称の視点語りを気に入れるかどうかが重要になるのか。

四季(1969年製作の映画)

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運動性に満ちた人形アニメだけど、レースとチャイコフスキーによって優雅で華やかな世界になり、ゆったりとした気分になる。

(1972年製作の映画)

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生き生きとした魂を持った人形。アニメーション観が変わってしまった。

黒水仙(1946年製作の映画)

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まさかの劇的展開に驚いた。鐘の構図や誰を接写しても綺麗という印象。「すべての人のしもべ」「逃げてはここに来た意味がない」なんて人を導く者としてかっこよすぎて着いていきたい。

トゥー・ラバーズ(2008年製作の映画)

4.5

これがまたすごいサスペンス恋愛。用もないのに近づいてみたり、気づけば視界にはいつもいるような恋愛のそれが大好き。

ラルジャン(1983年製作の映画)

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いらないものの多さに気づく、究極の単純化。自然な視線の動きを許さない限られた視界。攻撃が振りかざされる場面なんかは絶対にそれが見れないのだが、その間隙を埋める人の想像力を信頼しているともいえる。単に画>>続きを読む

影の列車(1997年製作の映画)

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ゴダールの映画史に続き、こちらも映画史に贈る愛と記憶の映画。アンビエントな音と音楽が詩的空間をより味わい深くしていて、比較的短めのショットによって、次の美しい画を期待し続けることができる。正直言ってぼ>>続きを読む

ゴダールの映画史 第2章 ただ一つの歴史(1989年製作の映画)

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いくら映画が編集室で出来上がるとは言え、ひとりでカタカタと編集しただけの作品に映画の悦びがあるのか?と思うも、ハイセンスなモンタージュと音楽は感嘆とするし、情趣を感じる物語になっているので、すごい。

ゴダールの映画史 第1章 すべての歴史(1989年製作の映画)

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映画に興味を持った頃、この映画を観ている人は映画狂だと思ってた。鑑賞した今、シネフィルとは程遠い自分にはがっくりするけれど、映画に対する愛と記憶で満ちている。映画狂の愛情表現によって、映画狂が生まれる>>続きを読む

壁の破壊(1895年製作の映画)

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思えばこれこそ、再生不可能な決定的な一瞬が映画によって蘇るそれ。

用心棒(1961年製作の映画)

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かっこよさの結晶!冒頭から「面白すぎる」とつぶやいてしまう程に、そわそわとした。ただ可視化された部分(音楽も含め)の傑出に特化されていて、内から湧き出る感動体験は乏しかった。最も優れた教科書的映画と言>>続きを読む

神の道化師、フランチェスコ(1950年製作の映画)

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謙虚と卑下こそもっとも低い姿勢、11の兄弟10の小噺。小人のような兄弟たちみたく姿勢で信念を語れるだろうか。明度の低いモノクロって綺麗ね〜。

歌うつぐみがおりました(1970年製作の映画)

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鼻歌のような映画。愛されキャラのギアはふらりふらりと自由に映画を踊り、生きる。

忘れられた人々(1950年製作の映画)

4.5

エディプス・コンプレックス系の中でもかなりストレートなシナリオ。子どもの耐え難い怒りや暴力性が、巧みなショットで捉えられていて衝撃強かった。初っ端の闘牛とか、卵とか、スローの夢とか、鶏とか、喧嘩の切り>>続きを読む

エル(1952年製作の映画)

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事件は人の内側で起こることを知らしめる傑作。なにも起こってないのにサスペンスになるというコメディで、思想がセリフにダダ漏れ。私が神なら人間を許さない。画繋ぎも良かった。

皆殺しの天使(1962年製作の映画)

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外に出れない要因が外的でないこと、少数ではなく20人が同じ部屋にいることで、とてつもない息苦しさを感じる。汚いな、人間。